カイゼンとは? 第八回

カイゼンの基本8 ~空いたスペースは何に使うの?3~

前回は、不要品を捨てて空いたスペースを活用して、大きな流れのカイゼンを進めることについて考えました。今回は空いたスペースを活用して作業台などのスペースを見直すことで、全体の流れを更に良くするカイゼンの切り口を見つけたいと思います。まず鳥の目で全体を見て、次に虫の目で更に細かい部分を見るようにするということです。

最初に作業台が、そこで働く人にとって「モノが取りやすくムダがない機能的なレベルになっているか?」をチェックします。既に工場では不要品を整理しているので、作業台の上は以前よりかなりスッキリしていますが、それでもまだすぐに使わないものが残っており、その結果次にどの部品を取るか迷ったり、モノが多く、取ったモノを持ち替えたりなどのムダな作業がまだ残っていることが多いのです。ひと月以内に使わないモノはありませんが、1週間以内に使わないモノはまだあり、狭い作業台上ではそれも邪魔ですね。ここでは作業者による現場カイゼンが必要になります。方法としては数日以内に使うと分かっている工具などを仮置きする台車などを作るのもいいと思います。それまでの整理活動で空いた場所を使って台車置き場を作るのです。

次に全体の流れの中で、生産遅れが発生する等ボトルネックになっている作業はないかをチェックします。もしボトルネックになっている作業が見つかったら、更にカイゼンで時間短縮をするか、多能工化してその作業をできる人や場所を増やすなどの対策を実行してボトルネック状態をカイゼンします。ここで、面積を空けて作業台をカイゼンし、経営成果を出した事例をご紹介いたします。

精密電子部品を作っているB社では、長年ある製品の組み立て作業がボトルネックになっていました。その製品は品種が多く部品点数が多いため、作業を3工程に分割し、3人で10台ロットで生産していました。その結果、急な注文に対応できず完成品在庫を多く持ったため、資金効率が悪くなり至急の対策が必要でした。

そこで、それまで部品は作業台上に作業者任せで置かれていたのですが、3人分の作業台の面積を3分割し、少し大きくした作業台を3台作り、すべての部品を組み立て順番に並べて、作業者は部品を並んだ順番に取って組み付ける方式に変えました。すると作業者は部品の選択に迷わなくなり、1人で注文に合わせて完成品を1台ずつ作ることが可能になりました。その結果、部品組み付け間違いがゼロになり、在庫も大幅に減り生産リードタイムが短縮し、出荷遅れもなくなり資金面での経営上の問題を解決することができました。このように、全体の大きい流れを作った上で、部分の小さい流れをカイゼンしていくと、ボトルネックが解消され流れは更に平準化され良くなります。そしてこれは5Sで実行した『整頓』ができているかの確認にもなるはずです。


これまで大きい流れをカイゼンし、次に小さい流れをカイゼンしました。これだけでも大きな変化だと思いますが、良くなったことで気付く更なる改良点も見えてくるのもこのタイミングです。「もう少し場所があれば」といった気付きも生まれるでしょう。

次回は今回までの3回でお話しした内容を踏まえて、最適なレイアウトへの変更を実践することをお話しいたします。