皆さんの会社では物流のレベルについて把握できていますでしょうか。このような質問をすると困った顔をする方がほとんどです。
メーカーにしろ小売りにしろ物流は本業ではないと考え、あまり真剣に物流のことを考えていないのです。
でも今や会社間の競争力は物流力でも変わってきます。これは営業利益と物流コストを把握してみると「えっ!」と思うとことからもよくわかります。
ではその二つ、どちらが大きいでしょうか。大体の会社で同じか物流コストの方が大きいことが多いようです。
あるデータによりますと、売上高に占める物流コスト比率はおおよそ5%であることがわかります。ただし、「物流コスト」として認識している範囲は異なります。
「支払運賃」や「支払倉庫費」は非常に明確であるため、ほとんどの会社が物流コストとして把握しています。
では容器購入費はいかがでしょうか。これも外払い経費のため把握はしやすいでしょう。だから物流コストとして認識している方が多いと思われます。
では容器修理費や容器清掃費はいかがでしょうか。工場や倉庫の中で運搬などのオペレーションを行っている人たちのいわゆる人件費はどうでしょうか。
自社倉庫やそこで発生している電力費や伝票の用紙などは・・・。
このように突き詰めていくと多分物流コストとして把握されていない領域が多々あることに気づくと思います。
アメリカの売上高物流コスト比率は約9%です。日本のそれのおおよそ倍ですが、これは国土の広さの違いだけではありません。
物流コストの認識の違いから差が出ていると考えることが自然ではないでしょうか。
つまり自社の物流の実力を把握する際には、このように漏らしている物流コストをすべて洗い出すことから始めることをお勧めします。
物流コストは人件費や製造経費、営業経費や情報システム費など多くの費目の中に隠れてしまっています。
これを抽出しなければ正しい実力は把握できません。把握できずに見かけ上「物流コストが小さく」なってしまっていたとしたら、間違った判断、つまり自社の物流は実力があるといった誤解につながる可能性があるのです。
次回に続きます。