6月のご挨拶

6月になりました。

私が日産自動車を退職して、カイゼンのコンサルタントになってから、30年以上が経ちました。その間、常に「世の中の変化は止まらず、置いて行かれないためにカイゼンが必要です」と話し続けてきました。

約30年前、日本経営合理化協会から「社長の5S」という全5巻のVHSビデオを出しました。私自身、その存在を忘れていたくらい古いものですが、先日ふと思い出して久しぶりに見てみました。


驚いたのは、その内容です。5Sやムダ取りについての説明が、現在私が行っている説明とほとんど同じだったのです。30年前の新米コンサルタントの私が、懸命に説明していました。

当時やっていたカイゼンを振り返ると、今やっているカイゼンとは随分違います。今は、インターネットはもちろん、「DX化」も当たり前のように導入され始めていますが、当時は携帯電話もアナログで、デジタルという言葉はあまり使われていない時代でした。”DX”は「デラックス」と読んでいました。しかし、デジタル時代の今でも、5Sやムダについての基本的な説明は30年前と変わっていないのです。これはどういうことか?と考えました。私が進歩できずに古いままで止まっているのかとも一瞬思ったのですが、最終的に到達した答はそうではなく、これらは「原理・原則」であるからだと結論付けました。

モノづくりは質量や距離といった物理的な現象を扱う動きが基本です。したがって、まずは整理整頓清掃が行き届いた清潔な職場でムダのない作業をすることが重要です。もしデジタル化して生産性を上げるのであれば、これらを徹底的に実行した上でデジタル化すれば、それが最高の生産性向上手段になるはずです。元の作り方にムダがあれば、それをデジタル化しても効果は限られてしまいます。

すなわち、良いモノを作るためには、5Sやムダ取りについての理解と実践が基本であり、その上に新たな技術を取り入れることで、最高のカイゼンが実行できることになります。まずはこのモノづくりの原理・原則を学んでそれに新しい技術を導入するのです。

このような考えを持っていますが、では具体的にどのようなことをどのような手順で実行するのが良いかなどを、まだ分かり易く説明することができていません。私の仕事であるカイゼンの説明が時代の変化に追い付いていないということです。今、私はこれからのデジタル時代のカイゼンを探求して、より多くの方がモノづくりのレベルアップができる良い方法を生み出そうとしています。


ここで、一件会員の皆様へご連絡があります。
例年3月にお送りしておりました会報誌の製作が遅れ、今月の配布になりました。お役に立つ情報をお届けしようとしたためですが、大変に申し訳ありませんでした。

さて、今月は一般社団法人日本カイゼンプロジェクトの新年度が始まる月です。来期もより会員の皆様のお役に立てる企画をして参ります。是非とも会員のご継続をお願い申し上げます。請求書を会報誌と一緒に郵送させて戴きますので、年会費のお振込みをお願い申し上げます。


日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫