真の物流事業者 サプライチェーンとしての物流設計

日本では古くからトラックなどを使って運送を行う事業者を運送事業者、倉庫で保管業務を行う事業者を倉庫事業者と呼んできました。

モノの流れをトータルで見ていくと、一時ストックを行いながらモノを運んでいくという行為が自然に発生します。

そこで、モノの保管と運送を合わせたところで「物流」と呼ぶようになりました。そしてこの保管と運送の両方ができる事業者を物流事業者と呼ぶようになったわけです。

少し物流の領域が広がったためにこのように呼ばれるようになったわけですが、一般的に物流という解釈では単純な保管や運送にとどまらず、その行為をコントロールする管理業務の方が重視されるようになりつつあります。

さらに物流は最初の設計でその効率は決定してしまうため、物流発生以前の活動がより重視されてしかるべきです。

これを物流設計と呼んだ場合、その設計業務ができる会社こそ、「物流事業者」と呼ぶにふさわしい存在であると考えられるのです。

それはサプライチェーン設計の一部であると思われます。どこからモノを調達し、どこで生産を行い、どこに販売するのか。これをつないでいくことが物流の役割でもあるのです。

では今の物流事業者がこの重要業務を行っているかといえば、それはほとんど手が付けられていません。むしろこの物流設計業務はサプライチェーンのホルダーである、物流用語でいうところの「荷主企業」が行っています。

今現在、物流設計業務ができる主たる「物流事業者」は「自動車メーカー」であると思われます。日本では最も進んだサプライチェーンを構築している自動車メーカーです。

もちろん、彼らは知らず知らずのうちに物流設計業務を始め、グローバルで展開しています。元々は物流を専門にやってきた人ではなく、生産技術や生産管理を行ってきたメンバーなのです。

では一般的に物流事業者と呼ばれる業界に物流設計業務ができず、それがメーカーにできるのは何故でしょうか。

これは仕事の取組み領域にヒントがある気がします。

次回に続きます。