5.設備を改善する基本 【急所57】システム導入に対する考え方

システムを万能のように考えて、導入すれば生産性は飛躍的に高まると思いこんでいる会社は多いものです。しかしシステム導入によってかえって管理のための人が増えて、在庫が増えたりする事例が後を絶ちません。そして結果として借金まで増えて、完全に経営の足を引っ張っているケースさえ見かけます。

システムは、特定の作業を高速に行うことを得意としています。いったん型にはまれば素晴らしい能力を発揮しますが、応用性には乏しく、別の作業と連携したり変更の頻度が高い場合には、その不得意な面が顔を出します。

モノづくりにはたくさんの複雑な工程があります。工程間の流れを造れていなければ、システム導入によってつなぎの部分で中間在庫が貯まります。工程数を減らし、中間在庫を持たなくても工程がつながるような流れを作ることで、はじめてシステム導入が活きてくるといえるでしょう。

以前、私が改善をお手伝いしたK社では大きな生産管理システムを導入したのですが、全く使えておらず困っておられました。私が現場を拝見すると工程の分割が細かすぎ、その結果中間在庫が多く、散らかり放題の状態でした。そこでみんなでKZ法(経営者参加型の5S技法)を行って問題を抽出し、全員で改善をしました。その結果工場がものすごくすっきりしたのはもちろんですが、工程数を減らしてモノが停滞せず流れるようになりました。その結果、システムが使えるようになったのです。

後日談ですが、そのシステム会社の宣伝を見た時に、システムが導入されたおかげで在庫が減り生産性が上がった成功事例をしてその会社が取り上げられていました。ちょっと複雑な気持ちになったものです。

今週の言葉  工程間の流れをつくれていない限り、システム導入によってかえって管理が発生し、在庫が増える。