物流の自動化・システム化の留意点(3) 移動棚と自動仕分け機

物流の自動化とはやや異なりますが、倉庫に導入する便利な設備として移動棚というものがあります。イメージは書庫のようなもので、棚自体を動かしながら入出庫を行うものです。

この移動棚ですが、最大のメリットはスペースセービングです。一般的に倉庫に棚を設ける場合、棚と棚の間には通路を設ける必要があります。

フォークリフトで荷役を行う必要がある場合、通路幅が大きくなり、それだけ倉庫内のデッドスペースが増えてしまうのです。

この移動棚は原則として通路は1本で済みます。ものを入庫したり出庫したりする棚の前面だけに通路が出てくるように棚を移動するのです。

多分皆さんはオフィスや図書館などでこのようなタイプの棚をご覧になったことがあることと思います。

導入にあたっての留意点はいったん設置すると移動にコストがかかるという点くらいでしょうか。

倉庫を有効に活用するためには収納効率を上げる必要があります。その意味でこの移動棚は大変有効なアイテムだといえるでしょう。

次に自動仕分け機について考えていきましょう。ディストリビューションセンターの様に、多方面に商品を出荷するタイプの倉庫では、仕分けにかかる工数が馬鹿になりません。

そこでこの仕分けをサポートする設備として自動仕分け機が登場します。この設備の入口に人がついて商品のバーコードなどの情報を読ませます。

作業としては、「商品を取り」「バーコードを読ませ」「商品を設備に投入する」という3ステップが必要になります。

後は設備側で該当間口までその商品を流してくれるということになります。そこで出てきた商品は原則として人が回収し次工程に運搬するという流れになります。

導入の留意点は、結構大きな設備になりますので、スペースを食うということが挙げられます。また、前後工程(投入回収)を人手で行う場合、そこにも工数を要するということです。

つまり本当に省人化に寄与するかどうかを見極めてから導入する必要があるのです。一方で人が仕分ける時に比べてミスが減ることが期待できそうです。

物流設備、特に自動化設備を導入するのであれば、できるだけ前後工程もセットで自動化することをお勧めします。

なぜなら「人による作業」を間に挟んだとたんに自動機の持つ能力を生かしきれなくなる可能性があるからです。

筆者も多くの物流現場で「儲からない自動設備」を見てきました。ですからこの点にはくれぐれも注意し、慎重に導入することをお勧めしたいと思います。

次回に続きます。