それでは実際に物流現場に自動設備を導入することを検討してみましょう。自動設備の大きな魅力は省人化です。また、人間が行うことによって発生しがちなミスを防止できることも大きな目的になることでしょう。
省人化は特に工数を要する作業に適しています。これは会社によって異なるかもしれませんが、たとえば人が構内を動き回る作業を自動機に置き換えることが考えられます。
その典型設備が「自動運搬車」です。その設備の上にものを載せて運搬するタイプや、設備の後ろに台車を連結して牽引するタイプがあります。
構内でも何百メートルもの距離を運搬する行為は自動運搬車に置き換えることは効果的です。人が運搬したとしても、行った先で「帰り荷」がなければ帰ってくる行為はムダそのものです。
自動運搬車は長距離運搬や短距離でも頻度が高く、人の工数を著しく要している工程で導入するとよいでしょう。
注意点を検討しておきましょう。よくあるパターンとして、自動運搬車にものを載せる行為、降ろす行為に人手をかけていることがあります。
これは自動運搬車導入の効果を落としてしまう可能性が大きいので注意が必要です。できれば積載、荷降ろしまでも自動化できることを考えましょう。
場合によってはこの端末作業は「からくり」でも対応が可能だと思われます。工場であればこれくらいの設備は内作してしまいます。ですからそれほどお金をかけずに対応することを考えましょう。
次に保管能力向上のための設備について考えてみましょう。一つは「高層自動倉庫」です。棚を高層に組み、棚への入庫、棚からの出庫をクレーンが行うものです。
高さを有効に使えるため、保管効率がとことん上昇します。また、出し入れを自動化することで省人化も図られます。
この高層自動倉庫ですが、導入に際しての留意点を確認していきましょう。
まず投資金額が膨大であること、そして一度設置すると移動が極めて困難であることに注意が必要です。ということは今後20年以上にわたり仕事の形態が変わらずに、操業度も落ちることなく、常に自動高庫内をいっぱいにして使い続けることができるかどうか、判断が求められます。
また自動倉庫は初期投資だけでは済みません。日常点検コストやシステムのメンテナンスや入れ替えなどランニングコストがかかることを認識しておきましょう。
さらに最終的な自動倉庫の出口における出庫の速度が人の動きに比べて遅い場合があります。その際に自動倉庫から出庫作業を行う作業者に手待ちが発生し、ロスを招くことがありますので注意が必要です。
次回に続きます。