ルール通りの作業を行わなくてもたまたま不良が出ていなかったと解釈すべきです。このまま作業を続けていけばいつか不良が発生することでしょう。
2つ目は「規則を守る意思がないことによる事故」です。先ほどの事例でも一部この要素が含まれています。「標準作業を守らない」こと自体が規則を守る意思がないということと同義です。
物流作業者は会社から指示されたとおりに仕事をすることが「雇用契約を守る」ということだという認識を持たなければなりません。
「数は5つずつ数える」という指示であれば、それに忠実に従わなければなりません。製品は机上に並べて数えろ、と言われていたらその通りにすべきなのです。
それを「たかが数を数えるくらい」という標準作業を軽視した思いは禁物です。いつか必ず不良につながることでしょう。
3つ目は「警告を無視したことによる事故」です。デジタルピッキングシステムやデジタルアソートシステムは人間の判断作業を軽減するためのしくみです。
会社がこれらのしくみを導入したにもかかわらず、使用しない方が生産性が上がるという勝手な判断で現場サイドで外してしまうことがあります。
安全装置も同様です。このような勝手な判断が大きな事故につながります。物流でいえば得意先に多数個不良を流出させてしまうことが大きな事故に該当します。
人間の行うことですから、ミスがゼロになることはありません。しかし自分の力量を過信しすぎると必ずエラーを発生させます。
物流工程においてミスが発生する3つの理由については、今一度現場を見直し、このようなことが発生していないかどうかを確認しましょう。
もしいずれかの理由が見つかったとしたら、すぐに元に戻しましょう。
物流現場では人による作業が大半ですから、作業における緊張が長く続くことは避けなければなりません。
皆さんも仕事で経験があると思いますが、緊張の続く時間はそれほど長くはありません。別の作業に変更するとか、休憩時間を取るとかしながら、適度な緊張を持続できるようにしていきたいものです。
仕事でミスが発生しやすい環境についてもチェックしていきましょう。たとえば類似した製品とか類似した製品番号などは作業者に迷いと判断を負わせることになります。
製品番号を例にとると、「0(ゼロ)」と「O(オー)」や「1(いち)」と「l(エル)」といった紛らわしい文字は使わない方がベターです。
特に手書きの場合、人によって紛らわしさが増幅しますので、できればこれらの文字は製品番号としては使わない方がよいと思います。
また、類似製品は保管場所をあえて離すことも必要でしょう。
次回に続きます。