4月のご挨拶

4月になりました。

「スマホを見ながらの歩行はおやめください」というアナウンスがどこの駅でもされています。しかし、実際には守らない人はかなりたくさんいます。

先日も駅の階段を降りていた時に、私の直前でスマホを見ながら階段を降りている女性がいました。危ないな…と思っていたら、足を踏み外したのでしょう、突然前のめりに転んでしまったのです。幸い、転んだ位置が階段の終点間際であったことと、彼女の前に人がいなかったので大事に至らず済みました。

もし、私が危ないな…と思ったその時に、女性に注意をしていたらこの事故は防げただろうか?と考えてみました。防げた可能性はありますが、逆に、驚かれてもっと大きな事故になった可能性もあります。また、例えその時は防げたとしても、気分を悪くされて彼女は私が去った後にスマホ歩きを再開しいずれ事故は起きていたのではないかとも思いますし、もしかするとしつこいと判断されてしまい怪しまれて私が通報されていたかもしれません。そう考えると私が何もしなかったのは正しかったようにも思えます。少し突き放したような表現になりますが、公共の場という条件で彼女がスマホ歩きをしないためには、彼女が自覚するしかないという結論です。

しかし、このような放任の考え方で工場の安全管理をするわけにはいきません。特に4月に新入生を迎えた会社では安全意識の徹底が必要です。学生と社会人では自分を取り巻く環境が全く違い、明らかに厳しくなっているのですが当人がその違いに自ら気付くことは容易ではないため、具体的な指示、厳格な管理をしないと事故につながる可能性が高いと思います。

例えば、先の例にあげたスマホを見ながらの歩行は工場内では絶対に禁止です。もしやっている人がいたらその場で注意をして止めさせる必要があります。一般的な注意ではなく、禁止事項であり、もし違反したら罰則につながるといった具体的な指示命令事項としておく必要があります。

「ポケットハンドでの歩行禁止」、「指定場所ではメガネ、ヘルメット、安全帯の着用」、「回転部に触る時の軍手使用禁止」など、安全にかかわる禁止事項は明確に禁止として、写真・イラストや大きな目立つ文字を使って分かり易く表示することが大切です。私は、いつも人は褒めて育てるのが良いと言っていますが、これはどんな時でも人を叱ってはいけないという意味ではありません。安全や社会規範に関する基本的なことについては、それを守らなかった場合は叱るし罰則を適用することをするべきだと考えています。

もちろん、先輩従業員についてもこのことの大切さは変わらず、むしろ慣れからルールの遵守が曖昧になっている可能性も否定できません。この際、全社レベルで安全の徹底を行うことがいいでしょう。

結論として、公共の場所とは異なり、工場などの現場では安全管理を徹底するために、具体的かつ厳格な規則設定とその遵守が絶対に必要です。新入社員への教育期間を特に重視し、安全意識を根付かせることが事故を未然に防ぐ鍵となります。安全は最優先事項であり、そのためには時には厳しい対応も必要だということです。工場においては、危険を見て見ぬ振りするようなことがあれば社長に通報されるかもしれません。


日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫