ヒューマンエラー対応の職場づくり 第12回

12. ヒューマンエラー対策の原則:環境整備その2

 ミスが発生するきっかけは、工具や部品が探しにくい、元に戻しにくい、面倒だ、表示が読みにくい、など手間のかかることや難しい、ややこしいなど上手くいかないこと根底にあります。

 それらが発生すると結果的に時間が足りなくなってくるので、慌ててしまうのです。慌てないためには、治工具、部品などを「4定」と呼ぶキーワードで配置し直すことを紹介します。5Sをさらに具体化したいわば標語です。

 「4定」は、定位置、定方向、定量、定品です。対象者は作業する側のオペレータです。定位置とは、一定の位置に置く場所を決めます。定方向とは、取りやすい方向に置く場所を決めます。定量とは、一定の決めた量で最小は1個です。定品とは、一定な品物つまり何を置くかを決めます。この時に表示標識をセットで行います。

 治工具、部品などをオペレータの前に近づけて、作業しやすい位置に寄せてきます。これを手元化と言います。さらに、これを順序化します。

 作業順にできれば1個ずつ工具と部品を並べると作業のバラツキがなくなり、標準作業が安定してできるので作業時間を短縮できます。組立系では、すぐに半減できます。さらに微調整や習熟度が上がれば10倍以上の工数短縮もできます。しかもほとんどコストがかかりません。

 できれば1個流しにすると、部品を置くスペースも最小限になり生産ラインもコンパクトになり、ムダな動作や歩行も削減できます。究極は、1オーダー単位の部品と工具の配膳(ピッキング)です。そのオーダーしか使用にない専用工具や測定機器もすぐに回収し、次のオーダーで間違えて使用しないように配慮します。

 整理はよく言われることですが、その歯止めとしての「整頓」はとても重要なのです。整頓とは、取り出しやすく、仕舞いやすいように整列しておくことです。そのために整頓には、表示標識を必ず付け加えて“セット化”します。

 整頓の「整」は、乱れたものをきちんとする意味があります。「頓」は、訓読みでは「ぬかずく」と読み、ひたいを地面につけて丁寧にお辞儀をする様を言います。

 つまり、整理や清掃は、1日に1~2回という回数ですが、整頓は毎回取り出すたびに都度やらなければならないことであり、丁寧に出し入れができるようにします。

 ですから、徹底して“やりやすさ”や“わかりやすさ”が求められるのです。これをやれば、規律が生まれミスの要因も激減して、効果的な防止策にもなります。

 間接部門にも全く同じことです。机の上に多くの書類があると、どれから手を付けてよいか迷います。事前に着手する順番と処理時間を見積もって置き、目の前には1つの作業するものに集中するようにします。集中し習慣化することで、ほぼ3割以上の時間短縮が可能になります。

写真 棚の表示!ここまでやるか?