脱力・カイゼントーク 第38回

生産管理情報のカイゼン 現状調査

布や皮を使った縫製部品を作っているカイゼンの指導先であるK社から依頼がありました。「主に自動車向けの縫製部品を作っていましたが、この度、オフィス家具の部品を受注し生産を始めました。ところが、お客さまからの生産計画がコロコロ変わるので困っています。」とのことでした。

早速工場に伺い現場を拝見しました。K社の現場はトヨタ生産方式を実践しており、整理整頓が行き届いていました。オフィス家具の生産の流れをを聞くと、自動車のように年間を通じて平準化された需要ではなく、新入学や新入社あるいは異動が多い年度末と年度始めに売り上げが集中するなど季節性が高く、それ以外の月でも品種・量共に変動が大きいとのことでした。平準化を前提として、最小限の在庫で運用するトヨタ生産方式では急な需要の変化の対応には難しさがあるかもしれないと思いました。

工場長に話を伺うと、お客様であるオフィス家具製造のL社から受け取る次月の生産計画が、受領後にも生産数が増えたり減ったりと頻繁に変更されており、対応に苦労しているということでした。繁忙期になると、深夜までの残業や休日出勤で対応せざるを得ないということと、変更に対応し切れなかった結果として余剰在庫も発生するということでした。

実際に計画を見ると、確定したはずの計画が突然増えたりキャンセルになったりしており、確かに大変だ、と思いました。お客様であるL社から来る情報をすぐに変えることはできないので、まずは自分たちでできることをするべきだと考え、段取り替えのカイゼンをすることを提案し了解を得ました。

家具部品生産ラインの段取り替えにはまだカイゼンの余地がありました。内段取りの外段取り化や段取り台車の作成、あるいは多能工化訓練などを始め、すべての段取り替えを10分未満のシングル段取りまでカイゼンし、急な品種変更に対する対応力は向上しました。

しかし、急な生産数の増加には依然として対応し切れませんでした。何とか対応するためにK社は材料を早め多めに発注し、見込み生産で主要製品を作り溜めすることにしましたが、それだけの量の在庫を置く十分な場所はなく、現場は混乱し始めている状態でした。