知っておきたい物流関連法令(2) 運輸安全マネジメントと運行管理者

皆さんは運輸安全マネジメントをご存知でしょうか。この制度は貨物自動車運送事業法で規定されています。

国土交通省告示によりますと、「貨物自動車事業の運営において輸送の安全の確保が最も重要であるという意識を貨物自動車運送事業の経営の責任者から全従業員に浸透させ、輸送の安全に関する計画の作成・実行・評価および改善の一連の過程を定め、これを継続的に実施するしくみをいう」とされています。

一般貨物自動車運送事業者のうち、事業用自動車の保有車両が300両以上の事業者は、安全管理規程義務づけ事業者とされています。

安全管理規程の作成を義務づけることによって事業者全体で輸送の安全を確保するとともに、安全統括管理者を選任して多数の運行管理者を統括させることとしています。

輸送の安全確保のため、過積載運送を防止する必要があります。一義的には運送事業者の責任ではありますが、過積載は荷主に指示によることもあり、その場合は荷主も責任を負うことになります。

また過労運転の防止も輸送安全では欠かせない事項です。過労運転は長時間労働や慢性的な睡眠(休息)不足によって発生します。

さらに心理的なストレスも要因となります。トラック運転者は常に着時間を守ろうと考えます。それがストレスになるとともに、無理な運行をする危険性があります。

そこで、運転者に対しては「対面点呼」を行う必要があります。貨物自動車運送事業法では「貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対し、対面による点呼をしなければならない」と規定されています。

ちなみに点呼には「乗務前点呼」、「乗務後点呼」、「中間点呼(乗務途中点呼)」があります。貨物自動車運送事業者は、点呼の記録を1年間保存しなければならないことになっています。

点呼を行わなければならないのは「運行管理者」です。運行管理者の業務の範囲は、国土交通省令(安全規則)で定められており、運行管理者は誠実にその業務を行わせなければなりません。

運行管理者の業務には以下があります。

・ 過労運転の防止に関する業務
・ 過積載の防止に関する業務
・ 点呼に関する業務
・ 乗務等の記録などに関する業務
・ 運行指示書などに関する業務
・ 乗務員に対する指導・監督に関する業務
・ その他の業務

次回に続きます。