知っておきたい物流関連法令 貨物自動車運送事業法

私たちが仕事をする上で守るべきルールがあります。これは社会のルールであって、どんなことがあっても破ることができません。それが法令です。

身近なところから見ていきましょう。それはトラック輸送に関する法令です。運送事業者の方はもちろん、荷主、着荷主の方にも知っておいていただきたいと思います。

トラックなどの自動車を利用して、代金を取って顧客の貨物を運送する事業を貨物自動車運送事業と呼びます。

これを規定する法令が「貨物自動車運送事業法」です。また不特定多数の荷主から貨物の運送の依頼を受けて、有償で自動車を使用して運送する事業を「一般貨物自動車運送事業」といいます。

この一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければなりません。その際には以下の事項を記載した申請書を提出する必要があります。

・ 氏名または名称、住所、法人の場合は代表者の氏名
・ 営業所の名称および位置
・ 事業に使用する自動車(事業用自動車)の概要
・ 特別積合せ貨物運送をするかどうかの別
・ 貨物自動車利用運送を行うかどうかの別
・ その他国土交通省令で定める事項に関する事業計画

ここで「貨物自動車利用運送」とは、他の貨物自動車運送事業者を利用して貨物運送を行う事業形態です。

かつては貨物自動車運送もタクシーのように規制産業でした。その時には「認可」が必要でしたが、今は自由化されていますので国土交通大臣の「許可」で済んでいます。

ちなみに「許可」の定義についても確認しておきましょう。許可とは、ある行為が一般的に禁止されている時、特定の場合にこの禁止を解いて、適法に行為できるようにする行政処分です。

貨物自動車による運送事業をどんな人にも勝手に営業させるわけにはいかないので、一定の基準を満たす場合だけ許可することにしているのです。

貨物自動車運送事業法では「運送約款」という定めがあります。運送契約を締結する際に、個別に契約内容を交渉することは大変です。

そこで大量に行われる取引を画一的に処理するために、あらかじめ定型化された契約事項を作成しておくと便利です。

このような定型的な運送契約条項を運送約款と呼びます。

次回に続きます。