ヒューマンエラー対応の職場づくり 第10回

10. ヒューマンエラー対策(ポカヨケ)の根本原則その2

 不良をもっと徹底的に減らすには、どうしたらいいでしょうか。検査員をたくさん増やすなどもありますが、少子高齢化の状況下ではムダでムリな話です。

 そこで、まずは不良が発生した時にすぐに異常を検知して生産を止めて、原因をオペレータと第三者の班長やリーダーと一緒に再現させて確認する方法があります。スポーツと一緒で、違反やファールなどその時点で判断することです。後でやるのは死亡診断書と同じです。

 その時に大切なことは発見者を叱らないこと、責めないことです。これは私たち日本人の大きな欠点でもあります。潜在的に事件が起これば、犯人捜しです。そして、犯人を発見し逮捕したら拷問して見せしめにします。そうやって事件を起こさないことをやってきました。欧州とは考え方が違います。犯人追及よりも、原因の対策を取って再発することに力を入れています。これも考え方を変えていきましょう。

 そこで、面倒で手間もかかりますが、生産工程は「まるで赤ちゃんのように手がかかるものだ」という認識をもって対応します。この地道でコツコツした努力なしでは、不良ゼロにはできません。不良ゼロには、特効薬はありません。残念ですが、地道にコツコツやっていくのが結局一番の近道です。

 不良は、発生した後にわかる結果です。でもその前に、ちょっとおかしいな?なんか変だぞと言った変化点やミスに気づきはあるはずです。その時点で気づいてPDCAの管理サイクルを回して、その記憶の新しい発生した時点で発生源を見つけて対応する方法に変えていきます。

 オペレータがミスした時には、「良くミスを発見してくれました、ありがとう」と言いましょう。ビックリかもしれませんが、某企業では当たり前になっています。人を責めない風土があります。良いことはどんどん真似ていきましょう。今の時代コンプライアンスのこともあり、ソフトタッチで臨みたいものです。

 オペレータが、異常を検知してミスを不良(結果)にしないようにします。ここにポカヨケを組込んで、例えミスがあっても不良は作らせないようにしていきます。さらに突っ込んで現場に「不」があればすぐにわかって止める、そして「不」を少なくするように現場の整備を行っていきます。

 人の記憶は、実にあやふやです。聞いただけでは、翌日には7割、3日後には9割も忘れてしまうものです。でもメモを取るだけでも、3日後でも6割は記憶に残ると言われます。作業手順、要領書、標準類も記憶に頼ると、失念の世界に行ってしまいます。常に意識をしてもらうように、朝礼などを利用し“すり合わせる”機会をもちましょう。

 このため仕掛や今必要のないものは、いったんフロアから撤去します。現場をスッキリさせましょう!良い気分転換にもなります。情報はできるだけ少なく、目立たせる、赤は危険だ!など先入観に適合させると言った環境の整備も必要です。一応の目安は、1ヶ月間使わないもので判断しましょう。

 手順書などもNOマークで確認してもらいましたが、基本なことは忘れがちです。わかっているようで実は原理原則を忘れてた、勘違いしていたなどを、朝礼など活用して定期的に全員で確認し合うことが、気づきのセンサーを磨くことになります。メンバーの意識を、常に高い位置にもっていくこともリーダーの大切な役割です。