物流業務の責任範囲(3) 生産管理の実行

運搬に使った箱や緩衝材は物流が責任を持って回収します。ここを勘違いしないようにしたいものです。なぜなら箱や緩衝材は誰のためでもなく、物流のために必要だからです。

とにかく顧客は中身だけ欲しいという原則に気づかなければなりません。もちろん、顧客が箱などを欲しているのであれば話は別ですが。

このようにサービス業としての物流はいかに顧客の満足度を高めるかが課題になってきます。もし物流を単なる運送業とか倉庫業としてしか考えていないとしたら大きな間違いです。

工場の中では物流が生産工程に材料などを届ける行為を通して「生産統制」を行うことも責任範囲と考えましょう。

先ほどのサービス業にとどまりません。まさに工場運営をつかさどる生産管理を実行することも物流の責任なのです。

生産工程から「運べ」といわれたら運ぶといった受身の仕事の仕方は感心しません。工場の中にあって物流は受け身どころか主役を動かす司令塔の役割を担っているのです。

司令塔などといった立場で仕事をしたことがない物流担当者の方もたくさんいらっしゃると思います。しかしこのような役割を担ってこそ、頼られる物流になれるのです。

考えてもみましょう。もし受身で運搬や保管などの基本的な機能しか持っていなかったとしたら。表現はよくないかもしれませんが、このような仕事はどちらかというと誰でもできる仕事です。

つまり簡単に他者に取って代わられる業務といえそうです。それだとするとややバリュー的に見劣りします。

それよりももっとマネジメント的な仕事をした方が喜ばれます。それと同時にバリューがあるため、高い値がつくことも十分に考えられます。

いかがでしょうか。今まで考えてもみなかったと感じられた方もいらっしゃることでしょう。でもこれが事実です。

非常に重宝がられる物流とはこのような仕事を指すのです。今一度自分たちの業務について責任範囲を見直してみましょう。

物流だからといって、基本5機能にこだわることはありません。逆の見方をすれば5機能業務は誰でもできる業務です。

もっと高付加価値な仕事をすることで、自分たちのステータスを上げていきたいものです。