日本の物流の向かう道 国の政策と民間の活動

物流総合施策大綱こそが日本の物流の進むべき道を示唆してくれているものです。

国としては有識者を集めて何度も論議し、今日本が直面している問題を踏まえての方向性を示しているのだと思います。

しかし今の物流の動きは国の政策と民間の活動系が必ずしもリンクしているとはいえない気がします。最近もっぱら話題になるのは高齢化に伴うトラックドライバーの不足の問題や、宅配荷物の急増による物流サービス水準の低下です。

これらの問題は想定外ということはありません。十数年も前から当然予測できていたことです。問題点が顕在化してから国の対策を出すということはあまりにも稚拙な気がしてなりません。

物流はいろいろな省庁での取り組みに分散されています。国の産業を支える血流としての物流として考えれば経済産業省、道路や港湾などの物流インフラの観点から国土交通省、日々のオペレーションを担う人材の観点からは厚生労働省、その他の省庁も絡む形で物流は成り立っているわけです。

視点を変えれば「物流」という機能で見たときに主導的にリードする国の組織が曖昧な気がします。物流というかサプライチェーンの視点では当然経済産業省が旗を振るべきだと思うのですが。

日本の物流インフラは世界各国と比べて非常に脆弱です。たとえば国際港湾ですが、かつて横浜港や神戸港などが賑やかだった時代もありました。

しかし最近では中国やシンガポール、韓国にその座は奪われ、船が日本の港に寄港しない「ジャパン・パッシング」が起きています。

旅客だとわかりやすいと思いますが、今まで長い間「成田空港」が国際空港でした。世界でも有数の不便で高価な空港でしたが、最近では羽田空港が復活しようやく顧客視点でのサービスが叶いつつあります。

このように旅客・貨物ともに日本の物流は世界各国に後れを取っている事実を認識しなければならないと思います。

この問題は民間の物流を担う会社やスタッフだけの責任ではありません。やはり国としてどのような物流を展開していくべきかの指針と行動が確実に求められているといえるでしょう。

次回に続きます。