物流事業者との取引を見直す(2) 「標準貨物自動車運送約款」見直しのポイント

今回の「標準貨物自動車運送約款」の見直しのポイントは以下の通りです。

標準貨物自動車運送約款等について、以下のような改正を行うことにより、運送の対価としての「運賃」及び運送以外の役務等の対価としての「料金」を明確にします。

①運送状の記載事項として、「積込料」、「取卸料」、「待機時間料」等の料金の具体例を規定
②料金として積込み又は取卸しに対する対価を「積込料」及び「取卸料」とし、荷待ちに対する対価を「待機時間料」と規定
③付帯業務の内容として「横持ち」等を明確化 等

たとえば今までA地点からB地点までの輸送を委託していたとします。その時の料金は5万円だったとしましょう。

この輸送業務では荷積み作業と荷降ろし作業も運送会社が行っていたとすると、この荷役作業の対価と輸送の対価を分けることになります。

荷積み作業の対価を1500円、輸送料金を47000円、荷降ろし作業の対価を1500円、合計で元の価格と同様に5万円ということになります。

もし荷降ろし時に棚入れ作業を行っていればその対価も明確にします。このようにすることで、今まであいまいだった附帯作業についてそれらについても料金が発生することをサービス提供側、利用側で認識することになります。

そして今後締結される契約については必ずこのような対価を記載した契約とし、お互いそれに基づいて取引を実施していくことになります。

世の中には「○○一式」という契約がありますが、それでは中身がどうなっているのかがわかりませんよね。それに近かった輸送契約をもっとわかりやすくすることが目的です。

当然のことですが、荷主責任によるトラック待機についても対価を明確化します。生産が間に合わなかったのでトラックに待ってもらう場合には、荷主はその分の対価を支払う必要が出てきます。

このようなことを国土交通省が発した背景には、運送会社が荷主や着荷主から輸送以外の付帯業務を「押し付けられていた」という認識があるためです。

あまり表現はよくないかもしれませんが、強い立場の会社から言われれば断れなかった、という事実があるのでしょう。

次回に続きます。