物流コンプライアンスを守る(2) 物流特殊指定

製造業や小売業などの物流自体を生業としていない業種と物流事業者の間では下請代金支払遅延防止法(通称:下請法)は原則として適用されません。

かといって荷主が強い立場を振りかざして物流事業者を締め付けることに問題があることは当然です。そこで国は下請法と類似した網をかけているのです。

それが独占禁止法における物流特殊指定です。物流特殊指定に違反するおそれのある行為事例は以下の通りとなります。

支払遅延、減額、買いたたき、購入・利用強制、割引困難な手形の交付、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更及びやり直し、要求拒否に対する報復措置 です。

いかがでしょうか。下請法とそっくりですよね。つまり荷主である事業者が発注先である物流事業者に対して上記のような行為を行うと違法といわれるわけです。

運送を例にとって考えてみましょう。

運送とはトラックなどを使って地点から地点でモノを運搬する行為を指します。その際に積み込みや荷降ろしなどの端末作業が当然のごとく発生します。

これらの積み込み・荷降ろしを荷主側で行う場合もあれば、トラックドライバーにやってもらうケースもあります。

荷主が積み込み・荷降ろしを行っている間、トラックドライバーは手待ちになるため、その時間を使って積み込み・荷降ろしをやってもらうことを自主荷役と呼びます。

この荷役行為をトラックドライバーにやらせること自体が問題ではありません。問題となるのはその料金を払わないことにあります。

荷降ろし先で荷降ろしをしながら棚入れ作業を行わせる事例もあります。これもきちんと対価を払って行わせなければならないことは当然です。

何となく物流端末行為は無償のサービスで行うという誤解がありますが、この点はビジネスですからきちんとする必要があると思います。

もし無償で強要した場合、不当な経済上の利益の提供要請と判断される可能性があるのです。

いったん建物の中に入ったらそこで行う作業は構内請負作業です。運送業務とは異なるという認識に立つ必要がありそうですね。

次回に続きます。