物流コンプライアンスを守る トラック運転者の労働時間

最近では労働時間に関する規制が厳しくなりました。長時間労働による健康障害の発生を防ぐためですが、これは物流業に限らずすべての産業にいえることです。

日本は労働時間が長い国だと言われています。確かに世界の水準と比べても平均よりは長い方に該当します。

一方で時間をかける割にはアウトプットが大きくないため、世界水準から見てかなり生産性が低い国が日本だと言えるでしょう。

このような環境下で物流の中でも運輸業は労働時間が長い作業に分類されます。そうかといって給料が良いわけではないため、人が集まりづらい状況にあります。

運輸業では厚生労働省からトラック運転者の労働時間等の改善基準のポイントが示されています。その中で特に注目したのが、トラック運転者の一日の拘束時間です。

それは原則として13時間以内とされています。もちろん例外として延長することもできるのですが、それは16時間が限度とされています。

運輸業の方は当たり前にこのルールを知っていますが、輸送を発注する荷主やモノを受け取る着荷主も知っておく必要があります。

なぜなら長距離輸送を1人の運転者で行う場合には距離的な限界があるからです。途中で宿泊しながら行かないと、このルールから外れてしまうことがあります。

このルールの遵守責任は運輸業の事業者にありますが、発注する側もルールを知っておくことで無理なオーダーをしなくなるという歯止めがかかります。

ちなみにトラック運転者の1か月の拘束時間は原則として293時間が限度とされています。また拘束時間とは始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間と理解しておくとよいでしょう。

もう一つ知っておいていただきたいのが運転時間の限度です。1日の運転時間は2日(始業時刻から48時間をいいます。以下同じ)平均で9時間が限度となっています。

つまり当日10時間運転した場合には、翌日は8時間までしか運転できないことになるのです。拘束時間は13時間が上限ですから、待機時間があればその分だけ運転時間が減ることになります。

構内でトラックを待たせている会社はこのことを知っておけば、待機時間解消に向けての改善が進むものと思います。

次回に続きます。