からくりカイゼン 第10回

からくりカイゼンの10個の原理原則:回転を伝える力の利用

 からくりの3番目の原理は、回転を伝える力の利用です。3つの機構があります。

 ➊連続して回転数を変えられる摩擦車です。形状は円周と円錐などがあり、動力軸と設置した摩擦車で回転数を変えることができます。レコードプレーヤーのターンテーブルに設置され、2種類の回転数を動力軸の違いで切り替えしました。
 動力軸と摩擦車の接し方で、回転方向を変えることができます。自動車の変速機に応用されています。応用としては、ビンのフタが開かない時にゴムで滑り止めをして開ける方法です。

 筆者の同級生がM社の無線研究所で、40年以上前に重いターンテーブルを直接回転させるトルクの強いダイレクトドライブ方式のプレーヤーで特許を出しました。筆者に買うようにと催促があり、高価でしたが買いました。
 その後そのモーターのトルクを向上させ、今では直接車のタイヤを回転させています。彼も当時モーターでタイヤを駆動させるとは想像していなかったと思います。

 ➋確実に動力を伝える歯車です。大きな力を伝えることができますが、摩耗があり適応の潤滑剤が必要です。スケルトンタイプの時計は、歯車の組合せが良くわかります。ギアボックスは、駆動のモーターなどの回転を歯車の組合せで回転数を減速させて、高いトルクを出力させます。からくりカイゼンでは、歯車を金属ではなく板から加工して組合せて、軽量化も考えて自作されています。

 歯車の数を1:3と3倍にすれば、回転数は1/3になります。テコの原理に似ていますね。歯車をいくつか組合わせることで1/50など変えることができます。摩擦車と同等に接した歯車は、反対方向に回りますが、その2番目の歯車に接する3番目は主軸と同じ方向に回転します。

 ➌遠くに回転を伝えるベルト・チェーンです。ベルトは潤滑剤が不要ですが、チェーンは必要となります。ベルトは劣化して切断することがあり、またチェーンは伸びることがあり、時々点検が必要です。いずれにしても大きな力がかかっているので、からくりに使っている時も点検を忘れないようにします。

 事例として、ベルトコンベア、ボール盤、自転車などがあります。昔動力源のモーターが1つだった頃は、長い回転軸に多くの円盤を設置して旋盤などを連動し駆動させていました。これらの仕掛けは、動力源が限定されるからくりカイゼンに応用されています。

 このように3つとも主軸と従軸のベルトの回し方で、回転方向を同じまた逆転させることもできます。

(次回に続きます)