構内物流が生産コントロールを行うには適切なタイミングで部品などを届けるということをお話させていただきました。
実はこれ以外にあと2つ容易なやり方があります。
その1つは完成品を入れる容器を生産計画数分だけ届けるということです。たとえば生産計画が100台だとしましょう。この時に完成品が20個入る容器はいくつ届ければよいでしょうか。
これは簡単ですね。100÷20で5台だけ届ければよいことになります。部品が200台分供給されていたとしても、完成品用容器が100台分しかないわけですから、生産工程は100台を超えて生産することができません。
もう1つの方法は「完成品」を必要な数しか引き取らないというやり方です。生産工程は部品と工数があれば生産計画以上に生産することが可能です。
明日のために多少先行しておきたい、明日以降何が起きるかわからないので貯金をつくっておきたいと考えることはあり得ます。
仮に生産計画以上の生産ができたとしても、物流が完成品を引き取ってくれなければラインエンドが完成品であふれ置ききれなくなります。
結果として生産を止めざるを得ない状況になるのです。ここで生産コントロールが効いたということになるでしょう。
前回ご紹介した生産計画に見合った数量の部品だけ届けることを「入口統制」と呼びます。入口とは生産工程の入口のことを指します。
一方で完成品の引き取りで生産コントロールを行うことを「出口統制」と呼びます。もちろん出口は生産工程の出口のことです。
このいずれかを行うことで構内物流は見事に生産コントロールをやってのけることになります。いかがでしょうか。受け身の物流とは全く異なることにお気づきかと思います。
さらに構内物流は工場の中を動き回って仕事をするという特殊な立場にあります。この立場を利用して、「情報を運ぶ」ことも行うべきなのです。
つまりどこかの工程でトラブルが発生していることを見かけたら、その情報を必要な部署に運ぶのです。この行為を通して、工場のさらなるトラブル拡大、たとえば得意先への未納や大幅な生産遅れなどを防止することができるのです。
この「生産コントロール」こそが構内物流のメイン業務だと言っても過言ではないのです。
次回に続きます。