サプライチェーンの主役はメーカーです。モノを調達し、生産を行った後にユーザーへと届けます。この一連の管理を行っているのがサプライチェーンのオーナーであるメーカーなのです。
このサプライチェーンの中心にある工場ではさまざまな物流活動が行われています。最も高度なスキルが要請されるのは工場の中の物流です。
この工場内物流は一般的に構内物流とも呼ばれ、工場の敷地の中でオペレーションされています。この構内物流、意外と理解されずに間違った認識をされていることがあります。
構内物流はサプライチェーンの中で「生産」の一部と位置付けられます。カテゴリーとしては「生産物流」に分類されます。
生産は一般的に「加工と運搬の繰り返し」です。お互い切っても切れない関係にあるのが加工と運搬なわけです。
ところがこの構内物流は「生産とは別体にあるもの」と認識されている場合があります。生産とは実際にモノを加工する行為であり、それとは別に構内物流が存在するという考え方です。
このような工場では生産は生産、物流は物流といった切り離したマネジメントが行われており、それがいくつかの弊害を招いているのです。
その弊害について紹介してみたいと思います。
・ 生産工程には標準作業書が整備されているが物流にはない
・ 生産工程には標準時間が整備されているが物流にはない
・ 生産工程では生産性管理が行われているが物流では行われていない
このような事例を挙げるときりがありません。いずれにしても生産工程で普通に行われていることが物流では実施されていないのです。
この根底には工場のコア業務は「加工」であり、「運搬」のような物流作業はノンコアである。だからそこに力を入れようとはしない。このような思考回路が存在するようです。
もちろん、実際には物流の重要性に気づいている会社ではすでにこのような考え方を改め、物流をもっと戦略的に活用しています。
しかし大半の会社では物流を軽視し、それが工場全体の効率を落としているようです。つまりここに物流に対する誤解があるのです。
では工場物流の正解とはどのようなものでしょうか。それについて少し考えてみたいと思います。
次回に続きます。