物流全体効率化の視点(3) 距離の短縮と荷の縮小

物流全体を効率化するには個々のロスを解消していくだけでは足りません。やはり物流の発生を根本的に見直す必要があるのです。

輸送はゼロにすることは難しいかもしれません。というか、ほとんど不可能です。しかし輸送距離を短縮することは可能です。

たとえば消費地の近くで生産すること。これは輸送距離を大幅に短縮することにつながります。今まで日本で生産し、北米に輸出していたものを、北米に工場を造りそこで生産することがよい例です。

部品調達先を自社の近隣に求めることも同様です。調達距離を一つの調達条件にしている会社もあります。

部品調達に関わる物流費は一般的に部品費に入ってしまって見えなくなっています。しかし遠隔地から調達すれば部品コストが上昇することは当然です。

そこでこの調達についてもっと物流の視点で着目し、近隣調達にすることで物流の効率化を図ることはとても重要になってくるでしょう。

物流で運搬している荷物を縮めることも物流全体の効率化に寄与します。現在運んでいる荷物をそれぞれ10%程度縮める目標を持ってみてはいかがでしょうか。

荷を縮めることは輸送力不足には効果的なアイテムです。荷主にとっても物流コスト削減に寄与するアイテムです。

荷を縮めれば輸送コストを低減できるだけでなく、保管場を縮小することもできます。ぜひ取り組みたい改善ネタであることは間違いありません。

さて今回お示しした「輸送距離の短縮」と「荷物を縮める改善」は誰が主体となるでしょうか。はい、これは間違いなくサプライチェーンのホルダーです。

物流事業者ではこのような改善はできません。物流を発生させている荷主側の責任で実施すべき改善なのです。

現在は物流の変化点に差しかかっています。人材不足による物流作業の担い手が減っている今こそ、根本的に物流を修正しなければならない時代だといえます。

もう物流に関心がないなどとは言っていられません。物流効率化に積極的に取り組み、他社に先駆けてサプライチェーンの維持向上に努めていきましょう。