虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第47回:見えないが実は、多く使っているというバーチャル・ウォーター(その1)

おにぎり1個作るのに、必要な水が270リットルです

 黒木華主演のTV番組で、「重版出来」の一コマに出てきたのがこのフレーズです。ベテランの漫画家が、新人の漫画家にさりげなく見えないものを見えるように諭した例え話でした。ベテランの漫画家がおにぎりを一個もちながら、「このおにぎりを1個作るにために必要な水はどれくらいだと思いますか?」と尋ねました。当然新人の漫画家は、答えることができませんでした。
 その答えは、なんと270リットルでした。筆者も驚きの数値でしたので、本当かどうかすぐに色々を調べました。色々な数値がありましたが、ドラム缶やバスタブ一杯の水量に相当することがわかりました。
 食料を輸入している消費国において、もしその輸入食料を自国で生産するとしたら、どれくらいの水が必要なのかを推定したものが、バーチャル・ウォーターといいます。肉や野菜を生産するには、どれくらいの水が必要なのかを計算した換算表(仮想水計算機)もあります。牛肉100gは、なんと2,060リットルに相当し、豚肉100gは590リットルにもなるようです。見えない水のお蔭で、豊かな食生活ができることを感謝して食事をしたいものです。
 ちなにみに食事を食べる時に、両手を合わせて「いただきます」というのは、世界でも日本だけの習慣です。食べ物のもっている命を「いただく」という発想からきているようです。欧州では、「美味しく召し上がれ」という表現をします。
 さて、おにぎり1個の米粒の数はいくつあるのでしょうか?おにぎりに入れる具材によっても異なりますが、コンビニのものはおよそ100gです。お米をご飯として炊くと、ほぼ2倍になりますので、おにぎりに使う米の重さは約50gとなります。米1粒が0.02gですので、おにぎり1個の米粒は、約2,500粒となります。筆者は、現在糖分制限のためにご飯を75gにして食べています。子ども茶碗に軽く一杯という感じです。
 おにぎりのご飯1粒に必要な水は、270リットル÷2,500粒≒100㏄です。1升の米の数は、64827(ムシヤフナ)という数字は昔聞いたことがありました。某小学校で実際に5つのチームで数を数えてみたら、数百粒のバラツキの範囲内だったそうです。一株の稲には約25本の稲穂があり、その1本の稲穂に約80粒の米があるので、約2000粒になります。稲の一束が、おにぎり1個に相当すると考えればよいでしょう。

図1. おにぎり1個に270リットルの水が必要です
図2. 世界の穀物の半分は、家畜が食べています