虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第46回:問題解決に心の眼を使ってみましょう(その2)

第三者の眼という心の眼を、訓練してみましょう

 いつも見ている風景や職場は、視野が狭くなり見えるものが見えなくなっていきます。机の引き出しには、何がどの順番で入っていますか?工具箱の中身は、何がどこにありますか?という質問に答えられなくなっていませんか?いつの間にかムダや不要なモノがあふれてしまい、気づかなくなっていくものなのです。これは仕方ないことですが、諦めてはダメです。5S活動や改善活動を日々行い、常に事実を見つめてその深いところを探っていく姿勢が大切です。
 それと合わせて、第三者の眼という別な見方をすることで、自分自身を客観的に見ることができるようになります。また思い込みや先入観や固定観念などがあれば、心の眼は簡単に閉じてしまうものです。このような偏見を取り去ることが大切であり、謙虚な姿勢が重要になります。
 そして知らなかったことを発見した時は、楽しみが見つかったと考えを変えてみましょう。知らないことを知るというのは、ソクラテスの哲学の基本です。でも私たちは往々にして1つ答えがわかれば、もっと先のことを想像してしまいがちになるものですので、結論を急がないという心のブレーキをかけたいものです。いつの間にか、安易に主観的な見方に陥ってしまうことになります。頭の中で想像するのは簡単ですが、1つ1つ確実に積み上げていかないと、違った方向に行ってしまうことがあります。
 人は他人のことは良く分析し、特に欠点探しは得意です。しかし、相手の長所や自分のこととなると、なかなか正しく見ることができないものです。心の眼を鍛えることは、第三者の立場の視線で客観的に見る訓練です。慣れてくると、相手や自分そして現場の実態も良く分かるようになります。
 それを続けていくと、表面的なことからだんだんと内面の様子も見えてくるようになります。コンサルタントの仕事は、まさにこのようなことですが、読者の皆さんも社内コンサルタントになったつもりで、身の回りから試してみませんか。
 最初は難しいですが、やってみると偏見を多く持つ見方をしていたことに気づくと思います。そのことがわかれば少しずつ偏見をなくし、実態を客観的に見るようにしていきます。そうすると相手のことだけでなく、自分のこともわかるようになってくるから不思議です。まるで自分を映す鏡のような現象です。

問題解決は、相手の身になり見方を変えることです

 問題解決が難しいのは、自分中心に物事を考えることが阻害要因になっているものです。相手の立場になって考えることが、問題解決の始まりです。相手が良くなれば次にしてもらった相手、つまり自分に関心を持ち協力をしてくれます。そうなるためにも心の余裕を持ち、見方を変えることが大切だと考えます。
 狭い一本道の時に相手に道を譲った方が、結局お互いが速く行き来できることと同じです。企業内でも意見を譲らないでいると、仕事が先に進まなくなってしまいます。
 相手の立場になって物事を見るという簡単なやり方として、筆者が紹介していのは深呼吸をすることです。姿勢を正してゆっくり息を鼻から約4秒かけて胸一杯に吸います。一度呼吸を4秒間止めてから、再び鼻から2倍の時間をかけて吐き出します。
 意識するところは、胸ではなくお腹の丹田部分です。丹田は、おへそから約10㎝下のお腹と背中の中心当たりです。丹田を中心に複式呼吸をする方法です。交差点での一旦停止、職場に入る時、作業開始の前などどこでもできます。この時間を取ること切り替えをする機会を持つことで、相手の視線つまり第三者の心の眼で見えるようになります。脳科学的には、第三の眼は眉間の少し上にあるようです。