果実の甘味を測定する糖度計がありますが、ちょうど葉巻サイズの大きさで携帯できます。この中にあるガラス板に、試料の液を滴下させて光を当てながら糖度を測定します。果実が、甘いかどうか出荷すべきか確認している姿を、何度も見たことがあります。その時はその原理にはまったく興味はなく、舌で感じた方が早いのにと思っていました。でも客観的な数値で判定すべきことなので、どんな原理で判定しているか調べてみることにしました。
原理は、果実(果汁)に含まれる糖の含有量によって、光の屈折率が異なる性質を利用しています。糖度が高いと屈折率が高くなり、甘いというわけです。糖度計にあるガラス板に果実を絞った試液を滴下させて測定し、屈折率をわかりやすく10、11、12と目盛りに表記された数値を糖度として読み取ります。
地元鳥取では、二十世紀梨を代表される梨やスイカなどの特産地です。いつも初出荷の時は、この糖度計の数値がいつも発表されます。梨は、11から13。スイカは、9から13の数値です。特に甘味を感じるメロンは、13から18とさすがに高い数値になっています。ちなみに20というのが、ブドウのデアウエアです。
個人個人の舌の感覚での表現は、どれくらい甘いのか美味しいのかは的確に表現しづらいことです。でもこのように間接的でも、数値化されて誰でも測定できると客観的であり納得もできます。
空気の屈折率は、1.00という数値なので屈折しないのです。水は、1.33。ガラスは、1.46。ダイヤモンドの数値は2.42ですが、屈折率が非常に高いので、光の通過スピードが遅くなりキラキラと輝くのです。少しの通過スピードが違うだけでも、光の輝きはまったく違うのです。この屈折の世界では、モタモタしていた方がキラキラするとは面白い現象ですが、高価なので手は出せません。
レンズは、この光の屈折を利用してまっすぐ進むことを曲げることで、像を大きくしたり小さくしたりしています。近視の凹レンズは像を小さくし、遠視の凸レンズや虫眼鏡は大きくする屈折させています。これらは正確に光を反射させる必要があり、表面で反射しなければなりません。これを表面鏡といいますが、筆者の眼鏡のレンズはほぼ3年でコーティングが取れ始めるので、交換の目安にしています。
鏡は反射を利用していますが、裏に金属の被膜が塗ってあり、裏面鏡ともいわれます。工場内にある大きな中華鍋の鏡は、凸レンズの特徴である広い範囲を映す機能を使っています。逆に顔を大きく映し出して、化粧をしたりする凹面鏡は凹レンズの原理を利用しています。
自動車のバックミラーや交差点にあるカーブミラーは、この原理を使っています。ヘッドライトや懐中電灯の中にあるリフレクターと呼ばれる反射板は、光を集めて明るくする機能をもっています。この原理を音波で利用しているのが、パラボラアンテナです。光も音も波ということは、原理は一緒なので応用が利きます。反射や屈折を使うからくりの応用は、工場内でも活用できます。現地現物で探検してみましょう。