多くの読者の皆さんも「私食べる人、奥様が作る人」になっていると思います。著者はたまたま約10年前に、半強制的に厨房に入らざる問えない状況になりました。そのために多少なりとも、食べられる料理ができるようになりました。
この時女性の片づけの構造と男性の片づけの構造が、まったく違うことが改めて分かりました。例えばパソコンの画面を見ても女性の使っているアイコンは、余りにもたくさん貼り付けてあります。しかもランダムです。男性の場合は、できるだけシンプルにしてあります。そうでないと探すムダが発生するからです。厨房の調理道具なども同じで、一体何がどこにあるか全く意味不明に配置されています。
料理を本格的にやり始めると、思わぬ副産物に気づきました。献立作りは食べてくれる人のことを聞いてあれこれ考え、冷蔵庫の中身をチェックして足らないものや買い出しに必要なものをリストアップします。そして買い物に出掛け、どの店にいい物があり安いかも考えます。しかも何個入りか、余り多く買うと在庫になるので、その後の賞味期限も加味して買い物カゴに入れていきます。
帰ってから手順書であるレシピを確認して、材料の外段取りを始めます。そのタイミングは、食べる時間に合わせて完成させなければなりませんので、着手時間の想定も必要になります。つまり製造リードタイムが何分掛かるかを計算して、下ごしらえをします。調理道具を準備して、それに合わせて調味料や香辛料なども用意します。
全ての材料が準備出来たら、いよいよ具材と調味料で料理をしていきます。つまり、生産開始です。途中に味見という品質確認をして、塩コショウなどで味を調えます。火が通りいい匂いがしてくれば、完成に近づきます。最後の品質確認をして、器に盛り付けしていきます。そして食卓つまり食べる人のところに運びます。
そして五感を使って品質確認して、美味しく戴きます。食べ終わると後片付けをして、改めて料理をしてくれたことに感謝の言葉として、「ご馳走様」と言って敬意を払います。テーブルを拭き、食器も洗い元の場所にすべて戻し確認して作業完了です。
魚の眼で見ると、家庭の台所は、まるで工場における生産形態と同じ流れだと分かります。しかも家庭の料理は、たいてい奥様が、すべて一人で作業計画し、作業をして品質確認、さらに後片付けまで終始一貫して作業を行っていたのです。凄いなあ!
ちなみに、男女の片付けの差は脳の構造にあるそうです。右脳と左脳を結ぶ脳梁(のうりょう)が男性は狭く、女性は広い差があり、女性は何がどう置いてあるかがわかり、話があちこちに飛んでも対応できる構造になっているというのです。
図1. 時には厨房に入って異次元の探検をしましょう
図2. 野菜クズ、実は栄養たっぷりのお宝です