からくりカイゼン 第19回

からくりカイゼンの10個の原理原則:液体と圧力の流れ

 からくりカイゼンの10個目の原理原則は、液体と圧力を活用するものです。この原理では、別々なものを均等に攪拌する、熱いものを冷やすなどができます。

 水の入っているたらいに木の葉を浮かべて手前に取ろうとする時、手前に水を掻いてもなかなか来ません。でも追いやることを繰り返すと、だんだん葉っぱが奥に行ってやがてたらいの内周に沿って手元に来ます。これは、まず人に施しをすることで自らに返ってくることを暗示しています。利他の心です。

 温かいコーヒーにミルクや砂糖を入れて、さじでかき回して味を均等にして美味しくいただきます。コーヒーとミルクの色がだんだん混ざっていきますが、流体の粘度の違いがわかります。当然砂糖の甘味も均一になります。

 ドイツ人は、コーヒーにミルクより砂糖は必ず入れます。(ドイツ人はビールよりもコーヒーの方が、消費量が多いのは意外でした。)そして誰もと言ってよいくらい、さじでかき混ぜますが、その回数がなんと平均13回です。なぜその回数か?彼らは猫舌だったことがわかりました。また日本人のように熱いお茶などを、「すする」と言う作業が彼らは全くできません。日本人は、熱いまま空気をすすることで冷まして、飲む、食べることができるのです。

 飛行機はなぜ飛ぶのか?結構難しい原理だそうです。いまだに原理はよくわからないとも言われています。主翼の断面は、半月のように上が少し膨らんでいます。この形状だと強く空気が当たると流れが速くなり、負圧になって上に持ち上がると言うベルヌーイの定理です。エンジンで空気を圧縮し排出する作用反作用の力で飛行機を前に推進し、さらに負圧で持ち上げる組合せた原理がしっくりきます。

 ヨットの方がわかりやすいかと思います。帆を広げ風を探して帆に当てることで、膨らんだ方に揚力が生まれ前進方向の斜めに引っ張られ移動します。風を常に探しながら帆を左右に振って、向かい風でも前進させることができます。

 からくりカイゼンでは、切削油を流し小さな壁をつくると、そこに生まれる渦を利用して浮遊物を回収するしくみがあります。身近な事例として霧吹きがあります。ストローで勢いよく息を吹き付けてタンクの水を霧状に変える気化器などです。逆に勢いのある流れから速度を計測する仕掛けが飛行機の速度計です。

 排煙装置やそのダクトにも負圧を利用した流量計を作り、確実に排気ができているか目で見る管理にした事例もあります。管に少し壁を設けて穴を空けて、流量を変えるのは音の原理のマフラーと似ています。

(次回に続きます)