からくりカイゼン 第18回

からくりカイゼンの10個の原理原則:光の反射と屈折の原理

 からくりカイゼンの9つ目の原理原則は、光の反射と屈折を活用するものです。
 ギリシャの古代オリンピックでのトーチに聖火を採火する儀式に使用されていた方法が、マッチや火打石ではなく太陽光を集めるやり方でした。大きな中華鍋(いわゆる凹面鏡)の内面をピカピカに磨き、光を反射させて1点に集まる焦点に、油をつけた布と棒を差し出して採火したものです。暑い夏には小さなお玉でも、黒い紙であれば燃やすことができます。

 この反射の凸面鏡の原理は交差点などの反射鏡として活用されています。鏡にはものは小さく映り広い面積が映し出されます。フォークリフトの走行時に、歩行者がいるかどうかを確認するように天井から吊るされています。

 凹面鏡は、懐中電灯や車のヘッドライトに使われているように光源から発せられた光を前面の焦点に集めます。パラボラアンテナもお医者さんの額帯鏡も同じ原理です。

 凸凹面の鏡をガラスなど透明な材料に変えると、レンズになります。メガネも2種類あります。老眼鏡と称される凸レンズは、光の屈折を利用し大きく見せて遠くに焦点を当ててくれます。光線を収束させて後方に1つにまとめる働きがあります。いわゆる虫眼鏡です。さらに組み合わせると顕微鏡になります。

 逆が凹レンズで、光線を分散させるレンズです。凸レンズと逆に手前に焦点を合わせる近眼用です。人それぞれの焦点位置に調整してレンズの形状を調整してハッキリと見せてくれます。もう60年お世話になっています。

 料理はしょせん材料を混ぜるものだと言う料理人がいましたが、鍋(凹面鏡)に何でもぶち込み煮込んでしまえば、筑前煮、寄せ鍋、ちゃんこ鍋、ラタトゥイユ(仏訳:軍隊の煮込み)など具材の旨味が鍋で相乗効果を出します。逆にジンギスカン鍋(凸面鏡、ただし穴あき)は、肉や野菜を載せ余分な脂を流して焼くものです。凸凹の作用が違うことがわかります。

 光の屈折の原理は、少し高級な湯沸かしポットの水量を外から見えるようにしたものがあります。身近な事例は、石油ストーブの液面計です。液面計が透明になっているのが、光が反射しなくなり、黒くなっている高さまで灯油が満たされたことがわかります。この原理は、からくりとしてはTPMの現場でタンク内の液面の確認用で多用されています。

 屈折の原理は、水を入れたコップにスプーンを入れると手前浮いて見える現象です。からくりの世界では余り事例を見ることはありません。光の屈折で連想するのが、プリズム(三稜鏡)です。光を通すと虹色が現れます。日本では、上から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色です。他の国では、6色(欧米)、5色などしか見えないと言うのです。沖縄ではなんと2色!?青空がまぶしいので赤系統しか見えないと感じるそうです。

(次回に続きます)