ヒューマンエラー対応の職場づくり 第6回

6. リーダーは、ミスを抑えるにはどうするか?その2

 人は目先のことにはよく気づきますが、全体像と全貌についてはほとんど知らん顔状態です。社員自体が、普段から自分の工程の前後しか見ていないからです。出社してロッカー室で着替えて、自分の職場に直行します。他の工程を見ることはありません。

 コンサルティングの時には、後工程の出荷場からさかのぼって、日々の出荷量、出荷金額、在庫量、そして梱包、検査、組立、加工、ピッキング工程まで観察していきます。もう一度ピッキング工程から順に、出荷場に仕掛量、不良数、工程の離れ小島などをメモに取りながらヒアリングもしていきます。

 たった2回観ることでほぼ全体像が確認できます。これをチームでもやってみましょう。普段工程の流れを意識して観察したことはありません。やってみると多くの気づきが発見できます。関心を持たせる動機付けもリーダーの役目です。

 一緒に現地現物の考え方で実際に観察することで、全体像が見えてきます。それをチームで共有化し、言語化してまとめていく過程で自ら把握できます。

 問題点から課題は何か、自分でできることは何か、などもわかってきます。その気づきを指導するのが、チームリーダーです。その実態を知る数が多いと、気づきも多くなります。

 それをあるべき姿に方向修正するのもリーダーの役目です。知識がインプットされる、やればわかる、意識が目覚め変わっていくのです。前後工程だけでなく、全体や仲間のことを考えると気づきのセンサーが敏感になります。

 ピッキング工程から出荷まで一人でやる職場は滅多にありません。多くの人が協力し合って工程間をつないでいるのです。ですから一人でミスを防止することはできません。例えば、A機種を取り上げ、ピッキング工程から出荷までチーム全体を巻き込むのです。

 そこで一体化させる大きな目に見えない力が、リーダーを中心とした連携プレーです。リーダーには、チームを巻き込ませる力が必要です。それは何かと言えば、人間力と考えます。

 人間力とは、その人のためなら例え火の中水の中という諺にあるような人を引き付ける力です。これは湯をかければ3分でできるものではありません。普段の行動の積み重ねです。