ヒューマンエラー対応の職場づくり 第13回

13. ポカヨケと実践的な指導1 その1

 ヒューマンエラーの発生する見えない気づかない因子として、企業内の職場の人間関係の良さ悪さです。正常時は問題ありませんが、異常や異常の前の「はてな?おや?なに?」といったヒヤリハットの前の、ああでもない、こうでもない、なんとなくダメかなどいう「モヤモヤ」状態になった時に、すぐに周りの人と共有化する勇気をもった職場の雰囲気にしていくことが大切だと考えています。

 最初にヒューマンエラーは些細なことが積み重なって、やがて目に見える不良や事故になる過程を説明しました。ミスが小さな時に気づきすぐにアクションを取ってミスの因子を潰すことを習慣化して欲しいのです。

 職場内の人間関係や雰囲気が悪いと、情報が停滞し流れません。打ち手も後手後手になって行きます。さらに雰囲気や人間関係も悪魔のサイクルになって行きます。

 実際に11年間も出荷検査での不良ゼロ、市場クレームゼロの職場がありました。(11年間で生産終了)なぜそのような成果を出せたのかと経営トップと一緒に考えたのが、その職場の上司の率先さの素晴らしさと規律の良さです。その上司の雰囲気づくりの良さは、いつも笑顔で怒った顔は見たことがありません。まるで生きておられるお釈迦様のようです。

 しかし、すぐに問題があれば共有化し、改善が必要となれば改善を皆と一緒にすぐにやってしまうという行動力などに、その人の人間力の魅力に気づかされました。問題をモグラたたきで終わらせずに、モグラを引っ張り出して捕殺し、さらに穴まで潜って因子を探すスタイルでした。そのためにミスの因子が発生仕掛けたらすぐ対応をしていくので、ミスがあってもトラブルに至らなくなったのです。

 まだまだ要因はあるかと思いますが、率先して部下育成を取り組む過程で、職場の雰囲気は変わり、そしてヒューマンエラーの因子も次第に消滅していくと考えます。これはチームマネジメントの業務と考えます。

 言い換えますと、工程内でのミスは発生しても、すぐに検知して生産をストップして、原因さらに真因を追求し、暫定対策さらには別のチーム(理想は専門の改善マン)で根本対策を行います。さらに上司は自分以上の課員を多く育成することが、上司としての大きな役目とも言います。

 コンサルティングと言う仕事を通して企業や工場の問題は、その企業や工場の人間関係が問題の9割以上を占めていることに気づかされました。自社の業績の良し悪しを評価する時に真っ先に外部や市場環境の変化のせいにするのは、最初はどの経営者も言います。

 しかし、話し込んでいくと次第に何もしてこなかったという他責の考えになっていたことに気づかれるようになります。内部の人間関係の不味さが意思伝達、情報の共有化、思想の共有化と言う一見目に見えないことが重要だと再認識されます。