カイゼンとは? 第一回

カイゼンの基本1 ~間違えやすい5S~

コンサルタントとしてカイゼンの指導を30年以上させていただいておりますが、実は意外と見落とされているカイゼンや、できていると思っていたけどそうではないカイゼンというものが存在します。

そんなカイゼンについて分かり易く改めてご説明させていただこうと思います。確認の意味も込めて自社でのカイゼンと比較しながら読んでいただければと思います。第一回目の今回は、まずはカイゼンの基本の5Sからご紹介させていただきます。

5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)が最も一般的ですが、会社によっては3S(整理、整頓、清掃)のところもありますし、日本電産は5Sに更に「作法」を足して6Sとしています。さて、このSの中で最も間違えやすいものはどのSだと思いますか?

最も勘違いされがちなのは、私は最初の2Sである整理と整頓だと思います。現場で「整理」と「整頓」それぞれの意味を知っていますか?と尋ねると、正しい答が返ってこないことが多いのです。両方ともが片付けることだと思っていたとか、あるいは整理整頓は一つの言葉だと思っていたという人も多いのです。

ずいぶん昔のことですが、子供が小学校低学年だった時の授業参観で、黒板の右隅の今週の目標の所に「せいりせいとん」とかわいい字で書いてあったことを覚えています。子供ですから整理と整頓のそれぞれの意味は分かっておらず、整理整頓は散らかっている机の上のモノをどこかにしまうことだと思っていたことでしょう。そしてこの頃から整理整頓が一つの言葉として頭に入ってしまったかもしれません。

整理と整頓にはそれぞれ違った意味があります。ネットでそれぞれの意味を調べると、多少の違いはありますが、大体が次のように記述されています。

整理:要るモノといらないモノを分け、要らないモノを捨てること
整頓:要るモノを使い易い場所にきちんと置くこと

これでお分かりのように、整理と整頓はまず整理をして使うモノだけの現場にして、次に、残った使うモノを整頓で使い易く置くという順番で行う別々の活動です。

定義はシンプルですが、実際の現場では様々などうしたらいいか分からないことが起こります。では使わないけれど捨てられないというモノどうするべきでしょうか。例えば創業時の思い出が残る古い設備や、今では作られていない希少な道具のようなモノはどうしましょうか? その場合は、例えば会社の玄関にモニュメントとして飾ったり、市に寄付したり業者に売却したり、それができない場合は大切に梱包・表示して倉庫の奥にしまったりをします。あるいはほしい方がいたら持って帰ってもらいましょう。それとは逆に、使わないのですが重くて動かせないとか高所作業が必要なので自分たちだけでは簡単には動かせない設備のようなモノはどうしましょうか? ここで考えるのは未来の工場の有効活用であり、中途半端な取り組みでは十分な成果を得ることができません。お金をかけてでも捨てましょう。



(写真)会員の株式会社永沢工機の玄関にある自社製機械


いかがでしたか、皆様の工場での整理整頓は正しく行われているでしょうか。早速現場で確認してみましょう。