脱力・カイゼントーク 第32回

工程順番と運搬順番の一致の大切さ1 原因分析

先回までに続きまた別の事例をご紹介させていただきます。
「作業者は一生懸命働いていてくれているのですが、生産が間に合わず採算もあっていないのが現状です。何とか生産性を上げ彼らを楽にしてあげたいと思うのですが、一度現場をみていただけませんか?」という依頼を建築資材製造のE社のF社長から受けました。

早速現場に伺うと、確かにF社長がおっしゃる通り現場の作業者は一生懸命でした。建築資材には大きく重いモノが多いのですが、現場をよく見てみると移動距離の大きい作業が目につきました。あるいはそれらを置く場所がないのでいったんモノをどけるという作業も多く見られました。しかし一生懸命といっても、運んだりどけたりという動きは付加価値が付く働きではないので、生産は中々進まないという状況が見受けられました。

この原因としてレイアウトの悪さがあることはすぐ分かりました。工程が進む順番に設備や作業場所がレイアウトされておらず、モノが行ったり来たりしていたのです。工程順に運搬の順番が連続して並んでいれば、モノはスムーズに流れます。しかし順番通りにモノが流れないので前後工程の進捗が見えず監理しづらかったり、運搬が交錯するので運搬距離が更に伸びたりという不便が起きていたのです。

私はこの見解をF社長や幹部の皆さんにお伝えしましたが、彼らもそのことは前から分かっているということで、それまでの経緯を説明してくださいました。E社は、以前はマニュアルの小型機械を使った手作業的な仕事が中心であったのですが、徐々に大型の自動設備が入るようになり、その時点で全体のレイアウトを考えるべきであったが、それをしないで空いている場所に設置するということを繰り返したのでいつの間にか運搬が多くなってしまっていたということでした。そこで、これまでも何度かレイアウト変更をしようと計画を立てたけれど、生産に追われる状況が続き大工事になるのでその時間が取れずにいたとのことでもありました。現在の状況を見ると、ただでさえ生産は遅れ気味であり、大幅なレイアウト変更はとてもできない状況であることは私にも分かりました。

しかし実際の作業者のムダな動きの原因はレイアウトの悪さによる運搬距離からくるものだけでなく、現場にモノが多く散らかっていることによるムダも多く発生していることも明らかでした。

そこで、私はまず今のレイアウトの状況はそのままでいいので、整理整頓から始めることを提案し、F社長の了解を取りました。効率の良い動線などを考えて整理整頓を実行することでこれまでレイアウトが悪いから仕方がないと思っていた現状が、片付けのルールが守られていなかったり、部材の注文過多で場所を取っていたりと、別の理由で散らかっていることもかなり多いことが分かりました。

大きなレイアウトの変更は無理でも、小さいところで設備移動をして工程を連続させるレイアウトカイゼンや多能工化により、複数の工程を一人で連続的に行うカイゼンができることが分かり、それらを次々と実行し始めると、モノの停滞が徐々に減少し始めたのです。