脱力・カイゼントーク 第26回

DXやIT化など何から手をつけようかと考えることは多々あると思いますが、日常の中でもヒントになるようなことは多くあります。今回はそんな日常の中で見つけたデジタル化について考えました。

私は出張でさまざまな場所に電車で移動をします。連続で何日も移動することがあるため、切符の買い方は工夫をします。例えば遠距離移動の際に、A、B、Cの3駅が連続しており、A➡B➡C➡Aという移動する場合、A➡B、B➡C、C➡Aとそれぞれの切符を買うと手間もかかり値段も上がります。そこでA➡C➡Aの往復切符を最初に購入します。しかし特急券の場合は、行きはA➡BとB➡C、帰りはC➡Aといった複雑な購入方法になります。

先日、前述したような少し複雑な組み合わせの切符を購入することになりました。近くの駅のみどりの窓口は昨年閉鎖されたため、自動券売機を使用したのですが、うまく購入できませんでした。たまたま駅員さんがいらしたので尋ねたところ、その組み合わせは券売機では少々複雑で難しいですねと言いながら、切符と特急券を別々に購入する方法を教えてくれました。これにより割引が適用された切符を購入することができました。

しかし、この経験は私には少々不愉快なものでもありました。みどりの窓口なら、どういう切符が必要かを伝えれば、それを仕事としている駅員さんが方法を考えて用意してくれるので簡単に買えますが、自動券売機では、客である購入者が自ら方法を考えて買う必要があります。自動券売機の機能は、みどりの窓口の機能のほとんどをカバーしているということですが、使いこなすには高度な知識が必要なので、サービスレベルが低下します。「機能がカバーされているから大丈夫」というのは不十分だと考えたのです。

このことを若い知人に話すと、彼は、スマホで「JR東日本自動券売機」のページを開き、その切符を買うのに必要な情報を簡単に見つけました。実のところ、調べれば書いてあったのです。それどころか、さらにお得な購入方法など自動券売機以上のサービスがネット上にはたくさんあるとのことです。これは私の勉強不足だと気付きました。これまで私は分からないことがあるとネットで調べることをせず、直接知っていそうな人に聞くか、自分で資料を探したりするアナログ時代の習慣を続けており、何かにつけてとても遅い対応でした。

しかし、若い人を見ると、何かあるとすぐにスマホで調べることが多いです。これはデジタル世代の極意の1つかもしれません。分からない場合は、人に聞く前にまずネットで調べるべきです。なぜなら、聞かれた人も全てを知っているわけではなく、結局は同じ情報を調べているからです。(これはデジタルが詳しいと思い込んで、なんでも若者に聞いてしまっては、先週話したハラスメントにも関係してしまう可能性があると後から気づきました…。)

今の時代、デジタルが分からないからといって、デジタル化を避ける訳にはいきません。デジタルを推進することは今の日本の製造業にとって非常に重要ですが、見落としていた基本的なことを若い人から学びました。

進歩には努力が必要です。私はこれから何か分からない時は、まずネットで調べるよう努力しようと思います。その上で、自動券売機の側でも、そのようなことが分かる情報が出て来て、デジタルに恐れを感じる時がある私のようなアナログ人間が気楽にデジタルを使いこなせるようになることを望みます。デジタルでこんなこともできるようになったという進歩に加えて、デジタルがこんなに使い易くなったという実感が欲しいのです。

今回は個人的な経験を中心に書きましたが、これはモノづくりのデジタル化にも関連しています。使う側も作る側も、両者がチャレンジするべきことがまだまだたくさんあると思います。