ヒューマンエラー対応の職場づくり 第2回

2.ヒューマンエラーは上手く付き合うこと

 ヒューマンエラーの発生は何か?を、多くの生産現場でインタビューをしてきました。実は、複雑で高尚なミスではなく、初歩的なミスともいわれる、たわいものないこと、些細なこと、知っていてもその時には気づかず思い出せないことばかりでした。故意や意図的というのは、ごくわずかでした。

 ヒューマンエラーでミスをしても、大切なことは製品をお客様には出荷しないことです。社外に出てしまうと金銭的、信用問題など被害が一気に大きくなります。

 些細なことの対策は、コストも労力も余りかかりません。思い立ったら即職場の仲間と一緒に実践していきましょう。チーム全員で同時に取組みます。個人プレーは絶対にダメです。

 作業する前に、なぜその作業をするのか、間違った方法で作業するとこのようなミスになるなどと、知らしめることが事前の防止策にもなります。

 これが、指導、教育、訓練にもなります。手間はかかりますが、省いてはいけない工程です。これをやらないでいると、そのしっぺ返しは大きな損失になります。

 その防止策の事例の1つを紹介します。【写真】は、工程で使用される治具が設置されている管理板です。一つの治具に簡単な取説が、セット化されて磁石で取り付けてあります。

 以前は治具だけでしたが、間違った思い込み、勘違い的な作業ミスが時々発生していました。治具と取説とセットで現場に持っていき、迷ったら取説を見て作業することにしました。これが意外にも効果効てき面でした。

 疑問があれば、その取説を確認して作業すればよく、それでも疑問があればすぐにチームリーダーを呼び出し、確認の上作業することに徹底してもらいました。

 取説を見ることは、恥かしいことでもなく、むしろ念には念を入れるという姿勢であり、魂を込めることで納得してもらいました。

写真 治具と取説を一緒に掲示した管理板