脱力・カイゼントーク 第25回

今回の文章は、特に私と同世代、またはそれより少し下の、つまり50歳~70歳くらいの経営者や管理者の方々に読んでいただきたいと思い書いています。

最近、ある大手石油会社の社長が会合で酒に酔いセクハラをしたため、解任されました。ハラスメントを防ぐ立場にあるトップでさえ、このような行為をしてしまうことがあるのです。彼は意識的ではなく無意識のうちに行ったと思われますが、特に昭和育ちの年配者は無意識の行動に注意が必要だと感じています。

しかし、昭和育ちの年配者にこれらの対策を講じることは、他の事柄と比べて難しい面があります。以前にも取り上げましたが、私にはコンサルタントとして社内でハラスメントが起きないようにする役割があります。私としては最善を尽くしていたつもりでしたが、今ではハラスメントになってしまう行為をしてしまった経験があります。(https://kaizenproject.jp/text_movie/movie_kakiuchi/genbatankyuu_24/

この例は他者からのフィードバックを受けて初めて気付いたことですので、これ以外にも気付かずにハラスメントに近い、あるいはそれを引き起こすような行為をしている可能性があります。

昭和の時代は今と較べるとかなりハラスメント意識が薄く、今日では明らかに犯罪とされる行為が日常的に行われていました。当時の映画やテレビ番組をネットで見てみると、今では考えられないセクハラやパワハラ、モラハラの場面が頻繁に登場します。当時はこれらが当たり前の時代でした。その時代を過ごした人は、今と昔を較べるとずっとハラスメント意識は高まっていると感じていますが、「この程度なら許されるのでは…」という思うことがあるかもしれません。ハラスメントの存在を許せない若い世代の人たちの判断とは大きなギャップが存在します。

冒頭にお話しした酒に酔ってのセクハラですが、昭和の時代にはもっと起きていたことだと思います。私も見たことがありますが、昭和の当時は許されていたというわけではありません。被害者はつらい思いをしていたにもかかわらず、犯罪と認定されていなかったので、訴える訳にもいかず泣き寝入りを余儀なくされていたのです。しかし、今はハラスメントという言葉が生まれ、それは犯罪です。社長のような高い立場の人ほど周囲からのフィードバックが得にくいため、この変化に気付かずに大問題に発展するリスクがありますが、自分自身で気付く以外にハラスメントを避ける方法はありません。

世の中は明らかに良い方向に変化していると思います。しかしこの変化の本質に気付かないで自分の行動を変えないと、今回のような大きな問題に発展します。改めて世の中の変化を学んで参りましょう!