脱力・カイゼントーク 第23回

最近、精密機械部品を製造するA社で起きたことです。

A社は2年前にM&Aを通じてある製品のラインを買収しました。当時は本社屋の工場内に十分なスペースがなかったため、約30m離れた別の建屋にラインを移設しました。

その後、そのラインの担当者が退職し、専門家が不在になったこともあり、生産性、品質共に低迷し、生産の安定には人員が多い場所の方が安全であるという判断と、トラブル発生時の迅速な対応を考慮し、本社屋への移設希望が高まりました。

本社屋の空きスペースを集約し、一部の材料・備品などを別の建屋に入れ替えることで、なんとかラインを移設できることが分かったのですが、生産スケジュールや各ラインの稼働率を見ると、生産ラインを止めずにラインを移設するには準備、計画を含め1ヶ月以上の日数が必要なことが判明しました。

このA社では普段からカイゼン活動をしていましたので、全員参加が可能であれば、実行できる可能性はあったのですが、各ラインを稼働させるためには全員参加は厳しく、やはり現実的ではないという流れになっていたようですが、この話を私が知ったのは、偶然にも私がA社にカイゼン会に行く数日前の社長との打ち合わせの時でした。

そこで私は、数日後に予定していたカイゼン会の内容を変更して、思い切ってその日1日で、全員でレイアウト替えに挑戦してみてはどうかという提案をさせていただきました。これは思い付きで言ったわけではありません。全員が参加するカイゼン会の内容を1ヶ月後にすることで大きな損失は生じないので、今抱えている問題を解決することでメリットがあることが分かっているのであれば早めにカイゼンするに越したことはないと判断したからです。

不安はありましたがそれ以上に信頼もありました。社長との打ち合わせで決行が決まり、私が行く日までに社長の指示のもと、事前準備が必要な部署にはその準備をしてもらい急遽計画を実行する運びとなりました。

これにより、離れ小島であった製品のラインを本社屋ラインに吸収することができ、その結果、生産性と品質を上げることができました。

急遽準備をしたとは言うものの、これだけ大きなレイアウト変更がわずか1日でそのほとんどを終えることができたというのはどうしてだろうか?と改めて考えたのですが、次の3点に集約されると思いました。

① 普段からチョコ案の実行を通じて、全員がカイゼンの実行に慣れており、それぞれの立場を活かした効率的な計画を立てることができた。
② KZ法でモノや設備の移動をして場所を空けた経験があり、それを活用できた。
③ 普段のカイゼン活動において、お互いが協力し合うことに慣れており、今回もその力を発揮できた。

今回のレイアウトカイゼンが短時間でムダなくできたのは、普段からのカイゼン実践の成果です。もしそのようなバックグラウンドがなかったら全くできなかったことだと思います。

すべての人がカイゼンに取り組む体制を築きましょう!