新しいモノづくりの考え方 第16回

これからの日本式デジタル化⑮

デジタル化のメリットはたくさんありますが、そのうちの一つに速度感の向上があります。伝わるスピードも広がるスピードもそして結論が出るスピードもすべてが速くなるのです。今回はスマホのチャットという身近な題材を使って速度感にかかわるデジタル化のお話しをいたします。

最近ではほとんどの方が日常的にスマホのチャットツールを使用しておられると思います。例えばLineです。ご家族や友人とのコミュニケーションにはとても便利です。デジタルは苦手とおっしゃる高齢の方であってもLineは上手に使っておられる方が多いようです。Lineの前はどうしていたんだろう…?と考えてもなかなか思い出せないほど定着しています。記憶を辿ってみましたが、電話番号を使ったショートメールか、アドレスを入れて送るメールでありました。Lineのようなチャットツールが登場した今、その便利さにメールはとてもかなわないと思います。Lineを例にあげましたが、その他にもChatworkやSlackなどいろいろなチャットツールがあります。

メールもチャットもどちらもスマホやパソコンを使って情報交換をするので似たようなものに思えます。しかしその2つは全く違うものであるのです。もし突然に「メールとチャットはどう違うのでしょうか?」と質問されたら、パッとは答えられないかもしれません。しかしメールを「手紙」、そしてチャットを「会話」と日本語に直して、「手紙と会話はどう違うのでしょうか?」と聞かれれば違いは明らかです。今の時代、仕事で手紙を使うのは外部との連絡で形式的な手順を踏むべきところだけであり、スピードが求められる日常の仕事では会話で仕事をするのが当然です。会話というと電話で話すことが一番速いようですが、相手が出られないと話せないし、出てもらうと仕事を中断させてしまうので最近はあまり使わないようになっています。そこで会話はチャットとなるのです。

ところがこれほど便利なチャットツールですが、会社ではまだあまり使われておらず、相変わらずメールが中心のようです。メールは長年の利用で慣れていますが、チャットと較べるととても使いにくいものであると思います。外部との連絡の場合は別としても、社内の会話にはチャットを使うことで大幅にスピードアップされ情報の共有が進みます。

例えば、営業の方はその日にあったことをグループチャットに書けば、全営業マンと情報が共有化できます。全員に伝言するのも簡単です。また記録が分かりやすく残るので、指示したことがうやむやになることもありません。読まれたかどうかも分かります。これだけで、部門内の情報共有化レベルが格段に進歩することがお分かりと思います。

身の回りにある少し頑張れば改善できるデジタルとしてチャットの活用についてお話ししました。まだまだたくさんのデジタルが身の回りにあります。世の中の変化において行かれないようにやればできる一歩を踏み出しましょう!