10月のご挨拶

10月になりました。

「読書の秋」です。今月は、私が最近行っている読書のカイゼンについてお話ししたいと思います。

以前は気になる本があるとすぐに購入してしまい、それらが読まれないまま段ボール箱に積み重なる「積読(つんどく)」本が大量にありました。しかしコロナで自宅待機を余儀なくされた時にこれらの本を整理して、すべての本をタイトルが見えるように整頓して書棚に収めました。

それでも、まだ読んでいない本が段ボールに20冊ありました。大半を減らしたのですが、最後の1箱に手を付ける決心がつかずにおりました。そこで、読書の秋に残った本を整理し、中身が見えない段ボール箱管理をやめることにしました。この機会に、本棚と工場の整理整頓の違いについても考えてみようと思い、20冊の本をすべて読むことにしました。書評を読んで購入したものの一読して違うと判断した本、難しくて後回しにした本、忙しくて読みそびれた本など様々でしたが、購入時の背景などを思い出しながらすべてを読みました。

その結果、今回は通常とは異なる視点で本を読むことができました。不要と判断した本は12冊で、これらはリサイクルショップに持ち込みました。一部にプレゼンテーション資料として使える情報がある本が6冊ありましたが、本のまま保管せず、必要なページだけを切り取ってクリアファイルにタイトルを付けて保存することにしました。残りの2冊は、将来の仕事に役立つ可能性を感じ、取っておこうと決めました。後で使いやすいように、気になったところに色分けしたマーカーで太い線を引き、気付きを書き込み、必要になりそうなページの端を折り曲げて目印を付けました。

理由があって買ったはずの20冊の本でしたが、今回の活動の結果、3冊分(2冊+クリアファイル6枚)の書棚スペースに収納できました。現在、書棚には本がほぼ隙間なく入っていますが、このやり方で改めて本の中身を見直せばかなりの空きスペースを作ることができるでしょう。一部の本は必要情報のみを切り抜きタイトルを付けてクリアファイルに入れ、再読の可能性のある本はその特長を見える化し、いつでも参照できるようにしておけば、将来の仕事に役立つ自分専用の特別な書棚になるかもしれません。

工場でも先日、部品取りのために不急品として取っておいた古い機械が場所を取るので、分解して必要な部品だけを取り出したところ、必要だったのは小さい数点の電子部品だけであり、大きな設備が小さな段ボール箱に納まってしまい驚きました。私のKZ法では1か月以内に使わないものや問題があるものにカードを貼り、不要品・不急品・必要品に分けて整理・整頓をしています。今回のカイゼンでは、不急品として取っていた大きな機械を分解して、コンパクトな電子部品のみを必要品として残し、残った大きな部分を不要品化し廃却しました。これは本を分解して必要なページをクリアファイルに入れたのと同じ発想で、不急品を必要品に生まれ変わらせるというKZ法を応用したアプローチです。

カイゼンのアイデアは日常生活の中にもたくさんあります。今回、本の整理・整頓で成果を上げた方法を工場にも応用し、より広いスペースを確保し、更に将来につながる新たな工場カイゼンのやり方を生み出すことができそうです。


日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫