先月は今の若い人たちの考え方に対して、会社が、あるいは年配者が注意するべきことをお話ししました。今月は魅力的と思う会社とはどういう会社かについて考えてみたいと思います。
私は子供のころ、プリンス自動車(当時)のスカイラインに憧れていて、早く大人になってスカイラインを運転したいと思っていました。そしてその延長線上で日産自動車を就職先に選びました。私たちの頃は自分の夢と就職が結びつくようなことが多かったと思います。今の若い人たちにも同様に就職で具体的な夢があるかというと、私にはそうは感じられません。IT系の会社がかっこよく給料が良いらしいと言う理由で、特にSNSとかコンピューターが好きでなくとも、Yahoo!や楽天に入社を希望したりしているとも聞きました。そういうことなので、製造業にはなかなか人が来てくれません。中小の製造業に人が来るためには、会社が彼らにとって魅力的である必要があります。
魅力的であるということをどうやって判断すれば良いのかは簡単ではありません。そこで今回はマズローの5段階欲求説に従って判断してみようと思います。5段階は満たしていく順番に、「生理的欲求」、「安全の欲求」、「社会的欲求」、「承認欲求」、「自己実現欲求」です。
まず「生理的欲求」ですが、快適な職場であることだと思います。過度な残業がなく、昼食なども落ち着いて取れる快適な職場づくりがそれになるのではないでしょうか? 最も基本的な欲求です。改めて会社がそれらを満たしているかを確認してみましょう。。
次に「安全の欲求」ですが、これは給料を心配しないでもらえること。現場に危険がないことです。しかしこの頃はパワハラやセクハラなど人に対する「いじめ」や「嫌がらせ」のような新しい危険も増えています。大きな社会問題になる可能性もあることですが、その存在に気付かずにいる可能性もあります。何気ない日常会話を増やすなどで問題を見逃さない体制を取りましょう。
3番目の「社会的欲求」ですが、まず正規従業員になれる事です。そして若い人が情報を与えられ、意見を言える、すなわちインプットとアウトプットの両方ができる事が大切です。その結果、各人に役割があり居場所があることになり、会社という社会に帰属している感が生まれます。
4番目は「承認欲求」ですが、一般的に「承認欲求」は例えば弁護士や医師のようなプロフェッショナルとして認められる立場や超有名会社の社員になることは分かり易いと思いますが、中小企業でこの「承認欲求」を実現するには、例えば下町ロケットのように作っているものに誇りが持てるとか技術が自慢できるといったことがあったらいいですね。しかしそれがなくとも、友人や家族に自分の仕事あるいは会社の社長や上司とかについてその良さを語れることなのではないでしょうか。
最後は「自己実現欲求」です。これは自分がこの会社にいていろいろと学ぶことができて、頑張れば技術を身に付けて将来の自分が社会で活躍する姿を目に浮かべることができることです。即ち達成できる大きな目標が持てることだと考えます。そういうチャレンジをする人を増やしたいものですが、カイゼン実行の際などに上司が部下のいいところを常にほめてあげ自信を付けてあげたり、いろいろな勉強にかかる費用を会社が一部でも負担するといった仕組みも有効かと思います。
これからの世の中はますます大きく変わっていくでしょう。私達も変わる必要があります。それはすべての社員が一丸になり、皆で会社の魅力を更に引き出していくことだと考えます。そのための方法として、会社にどうなって欲しいか、あるいは自分に何をさせて欲しいかを社員の皆さんに聞いてみるのもいいかもしれません。そのような意見も取り入れながら皆で会社を魅力的にしていくことで、会社はより強くなり、その結果、どんな変化が来ようとも皆で集まって本気で議論して実行すれば何とかなる!といった強い集団になることでしょう。それを引っ張るのは社長です。日本カイゼンプロジェクトはそのような新しいカイゼンを会員の皆様とご一緒に実現して参ります!
日本カイゼンプロジェクト
会長 柿内幸夫