7.これからのモノづくり経営【急所89】技術力をアピールするヒント

日本のメーカー企業は、生産性を上げることや技術力を磨くことにはとても熱心ですが、売りモノのアピールになると不熱心になるところが多いように思えます。それは製品のデザインを見比べることによっても分かります。

購入する人にとっては、デザインも立派な品質の一部です。いくら性能が良くても、ものすごく古臭い形をしていたら性能を疑ってしまうし、新型と言われても旧モデルとほとんど同じ形であれば、性能も変わっていないと思うのが人情ではないでしょうか。

部品だから、加工業だから関係ないという意見もあるかと思いますが、その部品の色や形を一目で他社のモノと区別できるようにデザインしたり、納入時のケースを斬新なモノにするなど、アピールできるところは山ほどあると思います。生産財や設備でも、世界の一流のモノは必ず美しくデザインされています。

ここに一つの参考になる資料があります。
アメリカのJ.D.パワーが毎年発表する米国自動車初期品質調査ですが、2011年の結果は、ベスト3は1位:レクサス、2位:ホンダ、3位:アキュラ(ホンダの米国ブランド)と日本の会社が独占し、ベスト10には日本の会社が6社も入っていました。この時の評価の中心は、「走る・止まる・曲がる」の機能品質で日本車の機能品質は断トツであったことでこの結果が生まれたようです。ところが2020年のベスト10には、6位に三菱自動車1社が入っているだけという残念な結果です。同じくJ.D.パワーが出している米国自動車耐久品質調査という機能品質の調査結果では2022年の総合1位はレクサスなので、日本車の機能品質は今でもトップと言っていいようです。しかし他国の自動車も機能品質では1位ではないけれど、昔ほどの違いはないくらいにレベルアップがされていて、そこでの差は付かないということです。ではどこで差がついたのかというとカーナビ、音楽、音声通話の機能を組み合わせたインフォテインメント・システムなどの、これまででいうと本質的でない付随的と思われていた魅力品質の部分で差が付いたということです。

マーケットを見ないプロダクトアウト的なアプローチを見直す時期が来ていると思います。

今週の言葉  デザインは品質の現れである。