6.強いモノづくり【急所70】最適な生産スピード

「モノづくりは速く造るより、ゆっくり造るほうが生産性はよくなる」、と言ったら皆さんはどう思われるでしょうか? そんなバカな!速いほうが生産性は高いに決まっているじゃないか!!と思われた方はいらっしゃいませんか。

スピードを速めると、手作業であれば不良が増えるし、設備だと停止が増えると思います。そして全体にスピードを速めると、工程間のつなぎが難しくなるので、そこに在庫や運搬が必要になり、更に余分な管理まで必要になってきます。

一番大切なことは、お客様の要求に応えることです。すなわち出荷にさえ間に合うのであれば、急ぐ必要は何もありません。急ごうとするから人手が増えてしまうのだとも言えます。間に合うギリギリのスピードで作ればいいのです。組み立てであっても機械加工であってもそれだけの数を時間内で作るのに必要な人員配置をしてゆっくり造りましょう。そうすればムダのない生産ができることになります。

スピードを上げると人は機械の監視者になってしまいますが、ゆっくりだといっしょに働けます。「高い設備なのだから、スピードを上げなければならない」と思い込んでいる人も見かけますが、造る量は決まっているのだから、早く速く造れば結局不要な在庫ができてしまうだけですね。

もちろん、このゆっくり造るというためには、機械の故障が起きないようなきめの細かい整備ができていることが求められますし、担当者が休んでも必ず代わりの人が役割を果たせるような多能工化ができていることが前提になります。

人も設備も無理なくゆっくりと動いてお客様にタイムリーに製品を届けることが最もエコなモノづくりといえるのではないでしょうか。

今週の言葉  出荷に間に合う、最もゆっくりなスピードで作れ。