プロジェクトでカイゼン [Project de Kaizen] 第70回

設計現場をマネジメントフリーに
 ~設計リードタイム短縮は設計改革への道(その3)

前回は、設計リードタイム短縮は設計改革への道(その2)として進ちょく管理に客観的指標が欠かせないことを述べました。そもそも進ちょくを管理するために集まって会議をやることそのものが時代遅れです。製造現場で言えば不良品をチェックするための見える化の仕組みが無いことと同じでしょう。進ちょく会議は不要で、どういう状況にあるかが関係者に見える化されている。そのような仕組みについて述べました。今回は設計現場のマネジメントフリー、つまり、自主・自律的な設計現場のためにどうしていくかを解説します。

マネジメントフリーとは、管理不要を意味します。スーパーやコンビニではセルフレジが導入されています。ガソリンスタンドなども同様です。働き手が減少するわが国では何かを管理するために人を使うことは避けざるを得ない環境になりました。従って、設計現場のマネジメントフリーには相応の背景や根拠があります。

【1】なぜ設計現場にマネジメントフリーが必要か
まず、コロナ禍でのテレワークの進展があります。コロナ禍とはもはや無関係に、テレワークは世界の潮流になりました。中小企業の人材確保にとっては朗報です。職場や自宅がどこにあっても仕事ができます。家庭や家族の事情に関わらず、可能な時間帯で仕事ができます。定年退職制度があったとしても、適切な契約のもとで仕事を続けることができます。

しかし、そのための環境整備が必要です。テレワークは「ひとり職場」で仕事をすることになりますから、身近に管理者がいなくても業務が円滑に進む必要があります。リアル職場のようなマネージャーの機能は希薄になります。つまり、自主自律の働き方が前提になります。本連載(その1)で紹介したのは「チームに規律を」でした。現場改善の5S活動を設計チームに適用することを述べました。五つ目の「規律(躾)」が職場に形成されることは製造現場と同様に重要ですが、四つ目を「清潔」のかわりに標準(作業)としました。ひとり職場で仕事をする前提として標準を整備し標準作業を実践する。これがマネジメントフリーが成立するひとつの条件になります。

【2】リーダーの時代
次に、これからはリーダーの時代です。マネージャーは組織をうまくまわす人、リーダーは改革や変革を推進する人、筆者はこのように使い分けています。大きな変革期、正解が無い時代にはその職位に関わらずリーダーシップを発揮してもらうことが必要になります。従来、プレーイングマネージャーの立場にあった方はマネジメントフリーに伴いプレーイングに集中することができるようになります。もちろん、この方がプレーイングのかわりにリーディングをやってもらってもかまいません。リーディングマネージャーということになりますね。変革が必要な時代には、こちらのほうがぴったりです。

余談ですが、ボート経営のリーダーについて・・
本連載では「おみこし経営」は非常時に弱い傾向があると述べてきました。反対に「ボート経営」はかねてからひとりで意思決定することになれている。従って、非常時にも平時と変らずに力量を発揮できる。このように両者の傾向を解説してきました。
コロナ禍の対応について、欧米諸国トップの対応をみると「非常時にも平時と変らずに力量を発揮できる」とは限らないようです。英米独仏を比較すると、英国が抜群の対応で結果を出しています。先日のBBCニュースを見ました。議会でぎっしり議員が密に集まって、しかも誰もマスクをつけていない。放映されていた論戦は、コロナ問題ではなくアフガン撤退問題でした。米独仏は、うまくいっているとはとても言えない状況です。コロナ禍という事態が、いかにこれまでに無い難しい問題だからでしょうか。


【3】テレワークのための環境整備が設計リードタイム短縮につながる
自社ではテレワーク未実施でも顧客対応でテレワークを部分的に実施されている企業も少なからずあると思われます。未実施企業でも会議はテレワークで実施するなど導入をお薦めします。社内会議でも集合することなくオンラインで実施する。オンライン(テレワーク)の会議でしたら、10分、20分などの短時間でもあっさり終了できます。「せっかくこのメンバーが集まっているのだから、この際・・」などと長引くことがありません。工場見学、立会い検査などもすべてオンライン化が常識になりつつあります。
社内社外を問わずオンライン化すれば、これからの時代に何が設計チームの生産性向上の妨げになっているかが見えてきます。