運搬改善を進めよう(3) 決まった運搬と臨時の運搬

一か所で物流作業者が同時に複数の作業ができるようにするためには、ものの入口と出口を同じ場所にすることがポイントです。

ものを供給しに行った帰りに完成品を引き取るといった、物流の基本を工程設計に入れることがポイントです。

この入口と出口を同じ場所に集めることはラインができた後でもやれないことではありません。もちろん、当初からこの思想を織り込んで設計することが基本ではありますが。

まずは小さな運搬から改善していくことで成功体験を味わうとよいのではないでしょうか。たとえば工程間や機械間を自重で送るといった改善です。

このためには斜めのシュートを設置し、ものを重力の法則で流していくやり方です。「重力はタダ」ですから、お金をかけずに運搬することができます。

在庫の持ち方を変えることで運搬改善ができることをご存知でしょうか。ものが多すぎて余分な横持が発生することがあります。定位置に置ききれないために臨時に別の場所に置き、定位置が空いたらそこに戻すやり方です。

このように決まった運搬と臨時の運搬があります。まずは臨時の運搬を撲滅するという改善は効果的であると言えます。

運搬改善にあたっては「工程分析」の手法を使うと問題点がわかりやすくなると思いますのでぜひ活用しましょう。

「受け入れ場」→「一時保管場」→「ラインサイド」→「生産ライン」→「ラインサイド」→「仮置き場」→「出荷場」

このようにどこのポイントでものが停滞するのかを明らかにしましょう。この工程分析を行い、結果を記述した用紙を工場や倉庫の誰もが目にする場所に掲示します。

社員のみんなに運搬がどれだけ発生しているかについて認識してもらい、その職場として運搬を無くしていくような意識付けを行っていくことが目的です。

繰り返しになりますが、「運搬」は付加価値を与えないムダです。会社を儲けさせるためには運搬を生じさせない工程づくりを心がけましょう。また発生している運搬を無くしていく活動を推進しましょう。