物流事業者が真の物流事業者となるための人財育成について考えてみたいと思います。従来の運送業、倉庫業では、顧客から指示されたことを正確にこなすことが業務でした。
今後は受け身の仕事では顧客の要求を満たしませんので、より積極的に顧客に提案できることが求められます。
よく物流事業者の方は「提案」という言葉を口にします。この意味をしっかりと解釈しておく必要があります。
一つには改善提案です。顧客の物流を少しでも効率的に実行できるアイデアを出すことです。そしてもう一つ重要な提案が、この物流設計の提案なのです。
人財育成に取り組んでいる会社は、この物流設計の技術を身につけさせることが必要です。メーカーでも試行錯誤で行っていますから、物流事業者でできない話ではありません。
「いかに物流を発生させない流れをつくるか」
「物流が発生してしまった場合、それをいかに効率的に実行できるか」
「いくつかの物流パターンについて数値で比較できるか」
このあたりに的を絞って教育を実施してみてはいかがでしょうか。この教育の中には「発想力の育成」や、「数値で物事を判断する力」が必要になってきます。
これらについては一般的な物流の教科書には載っていません。そこで、コストの計算や物流工数の計算などは独自にテキストを作って実施していくことが望ましいと思います。
スタッフには極力外部企業の見学に行かせるとよいでしょう。メーカーではどのような工夫をしているかを実際に見てくるのです。
トラックと倉庫しかイメージできないようでは物流設計はできません。モノを購入してくるところの工夫は何か、構内でモノをジャストインタイムで動かす工夫やモノづくりを清々と行うポイントなど、今まで経験してこなかった領域に足を踏み入れることが重要です。
真の物流事業者とはサプライチェーン全体について一定の知識を持ち、さらに物流領域では深い知識を持つT字型組織が望ましいといえるのです。
ぜひ顧客から頼られる存在となるよう、努力を重ねていきましょう。