物流コスト改善に取り組む(6) サプライチェーン全体の効率化

たとえば工場で物流の効率化をするとなると、最初に行うべきことは生産工程の生産性向上に寄与するための活動です。

物流は工場の中で直接的に付加価値を生みませんので、生産工程の効率化に寄与することで、間接的に工場収益に貢献するのです。

物流はコストだと言って、常に物流を減らすことばかり考えることは正しくはありません。生産工程の生産性向上を図るためには物流でコストをかけても問題ありません。

物流でひと手間かけてライン供給を行うと、ライン効率が劇的に向上する場合があります。生産性向上ばかりではありません。品質も向上します。

工場で在庫削減するためには調達品の量を減らす必要があります。そのためには調達方法を工夫する必要があります。

多数回調達という方法があります。これは1日で使う部品を何回かに分けて調達することです。しかし1つのサプライヤーでは納入回数を分割するとトラック積載率が下がる可能性があります。

そうなると、そのままで回数を増やすと物流コストが上がります。トラック台数が増えてCO2排出量が増えてしまいます。

これでは逆効果になりますので、一工夫が必要になります。それがサプライヤー同士の混載であり、引き取り物流の実施でもあるのです。

やはり物流コスト削減を優先して在庫を増やすことは望ましくありません。トラックがいっぱいになる量を納入単位とすることは一見正しく見えて、実は望ましくありません。

サプライチェーン全体を効率化するのであれば、在庫量を極限まで減らして、リードタイムを短縮する必要があるからです。

これは工場の中でも、部品調達プロセスでも、サプライヤーの社内でも一緒のことです。在庫削減は常に必要なのです。そしてそれを実行するためにはさまざまな工夫が求められます。

いろいろなことを考えます。こうしたプロセスを経て、サプライチェーン効率化のための知恵がついてくるのです。

いかがでしょうか。物流コスト改善は物流自体が身を切ることだけではなく、逆にもっと高度なサービスを実施することでサプライチェーン全体が効率化できるわけです。

ぜひ多角的な視点で物流コスト改善に取り組んでいただきたいと思います。