輸送インフレ時代の次の一手(3) 荷量を縮める

物流コストを下げる次の一手として考えなければならないことは「荷量を縮める」という手です。当たり前のことなのですが一番手が付けられていない領域だと言えるでしょう。

製品を世の中に出す時には「デザイン」が非常に重要視されます。消費者が最も重視するのが製品の機能性とともにデザインであるからです。

そのため企業が製品を開発する際にはデザインが重視されます。これは当然なのですが、場合によっては「物流効率」は無視した形で行われることがあります。

そうなると物流コストがかかり、それが収益を圧迫することにもなりかねません。そこで製品開発の際にはデザインや機能性とともに「物流効率」を考慮するようにしたいものです。

ちょっとした突起があるだけで物流効率が半分以下になることはざらにあります。その部分が壊れやすいデリケートな部分であれば尚更です。

壊れやすい部分を保護するためにいろいろな緩衝材を詰め込んでパッケージをつくることになります。結果的に製品のサイズの割に大きなパッケージが出来上がります。

皆さんも「こんな過剰梱包は不要なのでは」と感じられたことがあるのではないでしょうか。

物流効率は輸送の効率だけではありません。パッケージでも同様です。過剰梱包となることで資材も多く使うことになりコストがかかることになるからです。

物流効率を考慮して製品設計を行うとともに、現状のパッケージングも見直す必要があります。輸送を考えると一つの荷姿により多くの製品が入ることが望ましい姿だと思います。

この効率を測る指標として「荷姿充填率」があります。製品1個当たりの容積ができるだけ小さくなるように工夫することが求められます。

このように活動を進めることで結果的に「運ぶ荷量」が小さくなります。そうすることで物流コストを下げることができます。

併せて荷量が小さくなることで保管スペースも少なくて済むことに注目しましょう。外部倉庫業者に保管を委託している場合にはその業者に対する支払いも減ることになります。

荷姿充填率を高めることでパッケージングに必要な資材や容器が少なくて済みます。その結果としてそれらの購入金額も減ることになるのです。

このように「荷量を縮める」ことによる効果が波及的に広がっていきますので、ぜひ意識的に取り組んでいただきたいと思います。

目が行きがちな「輸送価格」だけにとらわれないことが物流コストを減らすためのポイントだということに気づいていただければ、と思います。