虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第12回:ネジの付加価値は最後の1巻き(その2)

やらなくても良い作業は身の回りにたくさんあります

ネジの付加価値を生むのは、ナットとネジの締付が出来るこの最後の1回転であるということです。長いネジに何回もナットとクルクルと回しても意味はないのです。部材のネジ穴もネジの有効長さの寸法指定がバラバラだったり、座繰りの処理が不明確だったりすると、生産現場では刃具の選定や加工のプログラムを変えたりと余分な作業が発生してきます。ネジ長さや太さ、座繰りの統一化や標準化が進めば、大幅な時間短縮やコストダウンが可能になっていきます。

最近乗り物のプリペイドカードが、全国的に統一されました。関東と関西のICカードがバラバラでしたが、統一されることになり1枚のカードで済むようになり、とても便利になりました。これなら行き先を確認しながら、切符を買うという煩わしさから解放された気分になります。あとは料金不足にならないように補充をしておくだけです。さらにこのICカードで、駅近くのコンビニや商店での買い物もできる店も一気に増えて便利になり、お釣りの小銭入れもあまり使わなくて済むようになり、煩わしさも少なくなってきています。財布もスマートになり、カードを探すというムダもなくしていくことに有効な取り組みと歓迎しています。自宅に居ながら銀行とのやり取りが出来るインターネットバンキングは夜中でもいつでもよく、場所の移動も不要になってきます。

最近感動した便利な商品が、辛子やタレが一体となってゼリー状になっている納豆です。従来の納豆の形態では、フタを開けると辛子やタレの袋があり、さらに納豆と分離するフィルムもあり、それらを取る、切り口を裂く、取り出す、汚れないように置いておく、それらを混ぜる、食べる、後片付けをするという一連の作業になります。袋から中身を出す時に飛び散って汚れるという厄介なことがありました。

新商品は、それらの介在物が一切なくゼリーを納豆のところに移動して混ぜるだけという便利さが感動でした。さらにフタの裏側にタレのツユが収納されており、フタを開けてパキンと二つに折れば中身が出る仕掛けになりました。まったく手が汚れない工夫です。しかもこのタレが非常に今までにない味で、美味しいという付加価値も大好きです。このメーカーは納豆では後発だったので、革新的な取り組みを得意のタレに託し、1000種類以上の実験や研究をしたそうです。


便利の中にも遊び心を見つけて楽しみましょう

最近の車は、リモコンでドアの開閉を行っており、いちいちドアの鍵穴に鍵を差し込む行為をしなくても済みます。またエンジンをかける時も、押しボタンを押すだけにもなってきています。今乗っている車は、1981年製で非常に古く、ドアの開閉は当時のまま鍵でしか使えません。しかもフロントの窓は三角窓で、手動で調整しなければなりません。サイドブレーキは、ハンドルの下にあるT字型のレバーを思い切り手前に引くようになっています。さらに音楽はCDプレーヤーではなく、カセットテープですので、音質もあまりよくありません。余りに便利な世の中には逆行しているようですが、便利さの中にも手間を意識的にかけるという遊び心を持ちながら人生を楽しんでいます。逆の視点で見ることができ、仕事や生活の中に改善のヒントが生まれるかと思います。