虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第44回:見えない微生物でも、その仕事の産物はよく見えます(その1)

微生物は目には見えませんが、その力は偉大です

 1週間に1日の我慢の日、それは自ら課したお酒を飲まないという休刊日のことです。お酒といってもレパトリーはとても広く、メチルアルコール以外は何でもOKなのです。日本酒、焼酎、泡盛、ビール、ワインと幅広く嗜んでいます。
 原料そのもののコメ(ご飯)以外は、あまり口にすることはありません。例えば、芋焼酎の芋はあまりにも甘く、饅頭が怖い筆者は口にすることはありません。トラウマになっているのは、栗です。モンブランケーキを食べてから、頭痛までなってしまったあの甘さには、恐怖を覚え逃げ出すくらい恐ろしい物体となっています。ところが発酵後の芋焼酎や栗焼酎となるといくらでもウエルカムなのです。
 米を蒸してから、麹などの微生物を混ぜて発酵させるとあら不思議。原料の糖分を分解して、いつの間にかアルコールに変身させてしまう魔力をもった微生物のお力にいつも感謝しております。そなたのお力がなければ、夜の帳が下りてまいりません。「はっはっは!」とひれ伏します。
 最近のことですが、前菜の付け合わせにラディッシュ(小さな赤カブ)をよく使いはじめました。極めてコストパフォーマンスの良い野菜です。赤カブには、立派な葉っぱがついています。でもこの葉っぱを色々と調理を試みてみましたが、煮ても焼いても苦くて食べられる代物ではなかったのです。悔しい思いをもちながらも、ゴミ箱に捨てていました。
 しかし、もったいない精神がムクムクと湧いてきたのです。酒を飲んでいると、自由闊達な発想が出てくるものです。苦い葉っぱを微生物のお力を借りて、料理の一品にできないかと思案しました。まず試したのが浅漬けです。良く揉んで2時間もすると、苦みが嘘のようになくなり食べられるようになり感激でした。辛子漬けの素で試してみると、さらに美味しくなったのです。
 さらにものは試しと、塩こうじで漬けるとまたまたヒットです。しかも葉っぱだけならすぐしおれてしまいますが、漬物にしておくと1ヶ月間も日持ちするので、常備菜にしているほどのファンになってしまいました。

図1. 微生物は見えませんが、黒子になって働いています
図2. 人体は微生物とほぼ同じ数で存在しています