虫の眼・魚の眼・鳥の眼 第42回:捨てようとしているソレ!もっと活用できませんか?(その2)

本当に捨てても良いですか、まだ使えませんか?

 リンゴや梨も皮をむいて食べていますが、皮と実の間に栄養が凝縮されていることを聞いたことがあると思います。ドイツでは、1日1個のリンゴを食べると「医者いらず」ともいわれています。そのためにホテルや会社の入り口に無料のリンゴが置いてあり、そのままガブリとかじって食べています。彼らが皮をむいて、リンゴを食べたことを見たことがありません。皆さんが丸かじりです。
 中には、芯まで食べてタネも食べる人もいます。ヘタだけ残して、それを爪楊枝代わりにして歯間を磨く人もいます。聞いてみると、芯まで食べる人が実に多くびっくりしました。それを聞いてから、リンゴは芯まで食べるようにしています。これでリンゴも安心して成仏できます。
 ドイツのリンゴは、日本のようにソフトボールのような大きさではなく、硬式野球のボールくらいです。道端にワイン用のブドウと一緒にリンゴの木が植えてあり、袋かけもしないで自然のままで成長させています。花粉の交配する人も見たことがありません。安いものは、5㎏で一袋1000円です(約20個入り)。
 必要な部位はどこか、そしてそれを本当で摂取しているかと考えてみることも時に必要と思います。捨てる時にもったいないと考えて、クズかもしれないがまだ使い道はないかと考えると、ヒントは見つかるものです。

見直すと、まだ価値ある部位はたくさんあるものです

 寿命が来て何気なく捨てている部位もたくさんあるものです。筆者のネクタイは、地元鳥取県倉吉市の織物作家の作品です。手織りの草木染ですので、同じものはなかなか作れないので、“作品”と呼んでいます。その中で気に入っているネクタイの鮮やかな茶色の部分があります、その染の材料は、なんと玉ねぎの皮を集めて煎じたものだったのです。たくさん必要とするので、近所に声をかけて集めているそうです。
 また、最近ショールを首に巻くようになりました。これも、鳥取県中部にある三朝(みささ)温泉地区の奥様方が、サークルで製作しておられる「三朝織り」を大中小の3点を交互に使っています。
 お気に入りのものに廃材になっていた二十世紀梨の原木を、外樹皮、白太部分、赤身(心材)部分とそれぞれ分けて、染色材料にしたものがあります。とても柔らかく自然の色ですが、その色の材料を聞いた時に胸がときめき、すぐに気に入りました。木綿糸で織ってありますが、その糸の色は細かく見るとたくさんあります。
 雑草といわれる草を丁寧に染色材料として、十数種類の糸にして色々な組み合わせをして作品を作っておられます。このように捨てていた部材のもっている能力を、活かせることのできることはたくさんあるはずです。
 工場においても普段捨てていたプレスの鋼板の端材も、残った部分で小さな部分の材料をプレスして、製品にすることできます。さらに最初から同じ金型で、同時に複数の部材を生産することもできます。
 もったいないという考え方をもつことで、捨てていたものがお宝に換えることができます。よく言われることに、捨てればゴミ、区分すれば資源になる標語があります。会社に来て皆がやることの1つに、原価低減があります。コストダウンは、知恵を出す良い機会です。端材、廃棄物、補材という普段気にかけないゴミに、見方を変えてみると残っていたお宝を見出すことができます。